暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
語り部と火竜と紅蓮
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「生憎だったな大罪人(クライマー)。お前の魔法…七悪ノ大罪(セブン・ヴァイス)の事は前から知ってんだよ。どう対処すればいいかも、その効果も」
「は……?」
「当然、それには暴食(ベルゼブブ)も含まれる。あのウザったい蠅を消す方法は……」

クロノがそう言って口角を上げた、瞬間。
投槍グングニルが――――――巨大な箱を、いとも簡単に貫いた。

「!」
「発生源である箱を壊す。そうすりゃ蠅共は出られなくなるし、残った奴等はこうやって…風神オーディンに命じる!“その名の語源の通り、問答無用で敵を吹き飛ばせ!”」

目を見開くジョーカーに更に追い打ちをかけるように、クロノは魔法陣から強風を放つ。
悪魔であれ何であれ、見た目は完全な蠅。最高神であり風神であるオーディンの風を前に耐えられる程強くはない。
壊れた箱ごと吹き飛ばすかのような勢いで、無数の蠅の悪魔を一瞬で蹴散らす。

「バカな!だったらもう1度―――――」
「何度やっても結果は同じだろうがよ。それに、そんなのグングニルが許さねえ」

再度魔法陣を展開させるジョーカーの行動を抑え遮るようにクロノは呟く。
訝しげにクロノを見るジョーカーのオッドアイを真っ直ぐに見つめたまま、クロノは目を細めた。

「知らねえの?グングニルはオーディンによって投げられると直ちに勝敗が決まる魔法の武器。確かにオレはオーディンじゃないが、その権利を得る事は出来る。だからミョルニルを簡単に振り回せるし、ガルムやフェンリルは命令を聞く」

雷神トールの武器であるミョルニルは、大きい分当然重い。魔法無しであの重さを持てば、クロノは簡単にぺしゃんこにされてしまうだろう。だから、クロノはトールの権利を得る。トールの怪力を一時的に得て、重いミョルニルを振り回せるのだ。
ガルムやフェンリルだって本来は冥界の怪物であり、クロノが食われてしまう可能性だってない訳じゃない。それを権利によって主だと見做させる事で命令を聞いてもらえている。

「つまり、だ。オレがオーディンの権利を持ってグングニルを投げたとする。どっちが勝つかはグングニルの気分次第だからここは運任せだが、果たしてグングニルは持ち主と同じ権利を持つオレを負けさせるかな?」

ニィ、と意地悪そうに口角を上げ、青い目を細めて。
僅かに上を見上げたクロノに釣られるように上を見ると、グングニルが淡い金色の光を帯びていた。槍身がカタカタと小さく揺れ、その穂先に光が集まる。
気のせいか、穂先はジョーカーの方を向いているように見えて―――――目を見開いた。

「決まったようだ」

そう呟くクロノの声は、どこか硬い。
穂先に集まる光が大きな矢のような形になり、その切っ先をジョーカーに向けている。嫉妬(リヴァイアサン)でルーに変身すれば防
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