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王道を走れば:幻想にて
第三章、その5の1:昔語り ※エロ注意
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か?」
「・・・いいえ」

ミントは頭を振って男の首筋に顔を埋めながら、再び己の腰を揺すり始めた。肢体の奥から走り出すのは陰部同士が肉を貪り合う快楽の波。まるで過剰な印象すら受けるかのような高らかな喘ぎをミントは零し、男の獣欲を誘おうと肉体の艶美を体躯に押し付け、その恥部を晒していた。

(・・・・・・今晩は冷えて眠らずに済むな)

 男は息を吐きたくなる心境を抑えつつ、女の頭を己へと向けてその唇を舌を絡め取り、女の動きに合わせて己の腰を突き上げ始めた。再びがっちりと硬直した剛直が女の蜜壷を深く深くへと穿っていき、女の悦びの声を外界へと招いていた。男は自然と高まる熱にまどろむように、己の快楽を追及していく。




 一人の男がとある建物の二階部分、その窓辺から身体を出し、上に聳える庇目掛けて勢い良く跳躍した。月光を受けた鱗肌を光らせながら男は屋根へとよじ登る。  

「っと・・・」

 男はそっと傾斜のある煉瓦造りの屋根に足を着いてゆっくりと立ち上がり、水晶のように煌く星空を見上げた。今宵はとても空気が澄んでいる。遥か遠くで、平原の叢中に身を隠す虫のように小さな星でさえ、きらきらと命を輝かせているのが見えるほどだ。風も清清しく、夜に静まり返る暗き王都の街中を裂く、憲兵達の足音と声が聞こえるほど。無論その様子とて屋根の上より、その爬虫類のような暗視の瞳によって観察出来た。
 鱗肌の男、ビーラは周辺を窺い、そして一人の男の姿を視認した。昼夜の疲れも知らずにあちこちへ視線を向かわせて歩いている、ユミルの姿であった。ビーラは一つ息を吐いて、胸に手を当てる。赤黒い光が掌で仄かに瞬いていく。

(『我が従僕に命令する。我が古き友を我が元に通すべし。それ以外の何人たりとも通すべからず。命を懸けて果たせ』)

 光は消え失せ、ビーラは鋭き眼光をユミルに注いだ。互いの間には、直線距離にて200メートルほどの間隔しかない。ビーラは胸を膨らませて、そして大きな声を張り上げた。

「ユミルっ!!!!!」
「っ!!!!」

 声は雷鳴のように宙を駆け抜けていった。遠路を歩くユミルがぱっと顔を上げ、闇の中でも雰囲気で分かってしまうくらいにはっきりと表情を歪めて、ビーラが立つ建物へと疾走して来た。同時に、憲兵達もビーラの存在に気付いて駆けつけてくるようだ。

『居たぞっ!!あの建物の屋上だっ!!!』
『弓兵を早く引っ張って来い!!大至急だっ!!』
『っしゃああっ!飯の奢り回避だっ!!』

 憲兵達の声と共にどかどかと道を駆け鳴らす憲兵達は、ビーラが現れた建物へと向かって駆け寄ってくる。念願の獲物を見定めた猟師の如き様であり、いたく野蛮で品性の無い姿であった。
 ビーラは屋根の縁に立ち、建物の二階部分に戻ろうと身体を窓
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