仕事の依頼
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はそれだけのパワーはない」
「その通り、シオンくんの言う通りアミュスフィアにはそんなパワーはない。あの機械にできるのは、視覚や聴覚といった五感の情報を、ごく穏やかなレベルで送り込むことだけだと、開発者たちは断言したよ」
「随分と手回しがいいな、こんな偶然と噂だけで出来上がってるようなネタに?」
「飛ばされた身としては暇でね。で、本題なんだが・・・」
そう言って本題に切り出そうとした菊岡を雪羅は手で制した。
「待て、お前の言うことはこの状況の中で一つしかない。“GGOに行って、《死銃》と接触、あわよくば撃たれてこい”だろ?」
「いや、まあ、鋭いね君は、ハハハ」
菊岡は笑ってごまかすが和人は立ち上がる。
「やだよ!何かあったらどうするんだよ!アンタが撃たれてこい!!」
「安心しろ、葬儀には参加してやるから存分に死んでこい」
そう言って去ろうとする二人を菊岡は袖をつかむことで止めた。
「待ってくれ!この《死銃》氏はターゲットに厳密なこだわりがあるようなんだ」
「・・・こだわり?」
やむなく再び椅子に腰を下ろす二人、そして菊岡は続けた。
「ああ、ゲーム内で《死銃》が撃った二人、《ゼクシード》と《薄塩たらこ》はどちらも名の通ったトッププレイヤーだった。つまり、強くないと撃ってくれないんだよ、多分。僕じゃあ出来ないが、かの茅場氏が認めた君達なら・・・」
「買い被りすぎだ、相手はプロがゴロゴロいるところだぞ」
「そのプロっていうのはどういうことだい?さっきも言ったが」
その事に関しては和人が間に入った。
「ガンゲイル・オンラインは、全VRMMOの中で唯一、《ゲームコイン現実還元システム》を採用しているんだ」
《ゲームコイン現実還元システム》、これを簡単に説明すると、ゲームで稼いだお金を現実の金として還元することができるシステムのことだ。正しくは電子マネーではあるが今はあれで払えないものはないので現実の金と同じである。
つまり、プロはそれを利用し月に大体20〜30万を稼いでいる。そこまで多くはないが、生活するには十分な額だ。
「それで、本当のことを聞かせてくれないか?菊岡さん?只の私利、私欲の好奇心だけでこんな依頼をするわけがない。どういうつもりだ?」
雪羅は鋭い眼差しを菊岡に送る、菊岡はやれやれと思いながら答えた。
「まったく、君には恐れ入るよ。じつはね、上のほうが気にしてるんだよね」
「やはりか・・・」
「フルダイブ技術が現実に及ぼす影響というのは、いまや各分野で最も注目されている。仮想世界が、はたして人間の有り方をどう変えていくのか。この一件が規制推進派に利用される前に事実を把握しておきたい、単なるデマならそれでいい。その確
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