幽鬼の支配者編
EP.22 蠢く陰謀
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っ込めて重圧から解放されたソルはジョゼに忠誠を誓い、ジュビアもまた安堵した様子で首肯した。
実のところ、ジョゼにしてみれば現段階でのルーシィの身柄の有無など些細な問題であり、本来ならここまで叱る必要は無い。
だが、あえてそれをやったのは、『最初から見て状態が変わっていなくても、落として上げれば優遇されたように錯覚する』というアメとムチの心理を利用したジョゼの人心掌握術だった。
「さて……我々の邪魔をしてくれた“黒き閃光”はどうしてくれましょうか……」
フィオーレ一の規模を誇る幽鬼の支配者の頂点に立つジョゼは、魔力にしても普段にしても外交にしても、おおよそ欠点と呼べるものを他人に見せる事は無かった。気に入らない妖精の尻尾に関わる事でなければ、だが。
ワタルに対する苛立ちと、どんな苦痛を与えてやろうかという嗜虐心から顔を邪悪に歪めていたところ、彼はふと意識を集中させる。
「――――おや、そろそろですかね」
= = =
幽鬼の支配者オーク支部最上階、VIP専用の応接室。
シャンデリアや高級なソファや花瓶など、華美な装飾が施されていたのだが、今は見る影も無く破壊されていた。
「ジョゼェ……あれは何の真似じゃ? お?」
その惨状を作り出したのは激怒を隠そうともしないマカロフ。
レビィ達を傷つけられた報復として、殴り込みをかけた妖精の尻尾一同が幽鬼の支配者の構成員相手に暴れている間、単身ジョゼのところへ乗り込んだのだ。
その怒りは凄まじく、歩いているだけで何ら特別な事をしていないにもかかわらず漏れ出す魔力だけで扉や装飾を破壊し、建物全体を振動させていた。
「これはこれは、マカロフさんではありませんか」
対するは幽鬼の支配者のギルドマスター、ジョゼ。
部屋の惨状を気にすることなく優雅に椅子に座り、口元に笑みを湛えている彼は思念体なのだが……それをマカロフが知る由はなかった。
「お久しぶりです。6年前の定例会以来ですか……」
「世間話をしに来たわけじゃねえんだよ、ジョゼ」
挨拶を遮り、マカロフは腕を彼が得意とする魔法、|巨人〈ジャイアント〉で巨大化させて殴りつける。
怒りを込めた拳は大理石でできた椅子を、その向こうの壁をも粉々にしたが、ジョゼに効いた様子はない。それどころか、その姿にノイズが走っているのを見て、マカロフは声を荒げた。
「思念体!? 貴様、ギルドから逃げたのか!?」
「聖十大魔道同士の戦いは天変地異さえ起こしかねない。私は合理的な勝利を好むのでしてね」
「どこにおる!
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