幽鬼の支配者編
EP.22 蠢く陰謀
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いたソルには、静かに確認しているジョゼの紳士的な態度が逆に空恐ろしく感じられ、弁解のために口を開く。
「い、いえ、任務は“黒き閃光”に邪魔されまして……それに、標的、ルーシィ・ハートフィリア様には我らの目的は伝えておりますゆえ……」
「フム……本当ですか、ジュビアさん?」
「はい、マスター・ジョゼ」
ジュビアの肯定の返事に、ジョゼは顎を撫でて少し思案すると、唇の端を上げて笑みの形を取った。
「……まあ、最低限の役割は果たしているようですし……」
「はい、マスター・ジョゼ。それに、この程度で我らの計画は―――――」
変わらない。
ジョゼの笑みに赦しを見たソルは安堵に顔を輝かせながら、そう続けようとしたが……それは叶わなかった。
「誰が発言を許可しましたかな、ムッシュ・ソル」
笑みを消したジョゼの冷たい言葉と漏れ出す膨大な魔力に、ソルは顔を凍りつかせてしまう。隣に立っているジュビアも、矛先を向けられたわけでもないのに、余波で冷や汗を流している。
「計画はもちろん変更はありません。修正も、特に必要ないでしょう。ですが、我が幽鬼の支配者のエレメント4ともあろうものが妖精の尻尾のクズに後れを取るなど、あってはならないのですよ。ムッシュ・ソル……力で他のエレメント4に劣る貴方が何故その地位にいるのか、よく考えてください」
ギルドの兵隊に比べれば、一線を画す力量を持つソルだが、他のエレメント4……大火の兎兎丸、大海のジュビア、大空のアリアに比べれば、その実力は一歩劣る。
そんな彼が、何故エレメント4として他の3人と肩を並べているのか……それは、彼の性格に原因があった。
敵の情報を調べて、トラウマでも何でもその弱みを徹底的に突く……明晰な頭脳を生かした、狡猾とも呼べる戦法がジョゼの目に留まり、見事エレメント4の座を手に入れたのだ。
先のワタルとの邂逅で、己の戦法が通じないと見ると、ソルは任務続行よりも撤退を選んだ。
見ようによっては臆病ともとれる戦法をとる彼は、その憶測に違わず小心者である。撤退の理由は不利を悟ったのもあるが、ワタルの怒気に恐れおののいた、という理由もあったのだ。
そんな彼が、穏やかな言葉とは裏腹に、ワタル以上の重圧を放つジョゼに対してできる事といえば、顔を真っ青にして震えながら頭を下げて誠意を見せる以外に無かった。
「も、申し訳ありません、マスター・ジョゼ! この失態は必ず取り戻して見せます! ですから、どうか……」
「次はありませんよ、ムッシュ・ソル。ジュビアさんも……分かりましたね?」
「おお、マスター。なんと慈悲深い……!」
「は、はい……」
魔力を引
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