幽鬼の支配者編
EP.22 蠢く陰謀
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原因でこんな事に……そう思いつめてしまったのだ。
「……身体を冷やすといけない。ミラもいるだろうし、とりあえずギルドに行こう。シャワーでも浴びれば、少しはスッキリするさ」
「……うん」
ワタルは動かないルーシィの腕を取ると、やや強引に立ち上がらせて歩き出す。ルーシィは彼の後を追う形で歩きだしたが、ワタルが肩越しに見ただけでも、俯いて意気消沈としているのが分かった。
気の利いた言葉一つ掛けてやれない自分を腹立たしく思うワタルだった。
「はい、タオル」
「サンキュー、ミラ」
「……何があったの? もしかして、レビィ達に何か……」
ギルドの地下室。
ワタルと共に訪れたルーシィの落ち込み様を見たミラジェーンは、何も聞かずに雨に濡れた彼女をギルドのシャワー室に案内すると、清潔なタオルをワタルに渡した。
礼を言ってそれを受け取った彼は椅子に座ると、濡れた髪を拭きながら彼女の質問に答える。
「いや、彼女たちは眠ってるよ。医者の話では、そのうち目を覚ますそうだ」
「そう、それは良かった……」
安堵したように不安そうな表情を緩めたミラジェーン。
一通り髪を吹き終わったワタルは、タオルを首にかけてギルドの地下室を見回す。
「……ギルドの地下室って、こんなに広かったっけ?」
「みんなオークの町に行っちゃったからね……」
「そうか……そうだったな」
いつもは物置としてしか使っていないとはいえ、今は妖精の尻尾の拠点である地下室は、普段の喧騒が嘘であるかのように静かだった。
原因は言うまでもない。
「ファントム、か……」
「ルーシィの事も、ファントムに関係あるんでしょ?」
「あー……どうも彼女の家の事らしい。詳しくは聞いてないが」
「ふーん……」
ミラジェーンはワタルの向かいの椅子に腰を下ろすと、彼を見つめる。
この場にはワタルとミラジェーンの二人だけ。彼女が黙ってしまえば、否応なく静寂が訪れてしまう。
沈黙に落ち着かなくなったワタルがタオルを手で弄っていると、沈黙を保っていたミラジェーンが口を開いた。
「ねえ……ワタルって、なんか変わったわね」
「そうか?」
「ええ。遠慮が無くなったというか……」
「……それは褒めてるのか? それとも貶してるのか?」
「もちろん褒めてるのよ。前は、なんていうか……壁? みたいなのがあったし……」
「うーん……言われてみれば……」
言われてみればそうだったかもしれない、と言う程度だったが、ワタルはミラジェーンの言葉に、以前の――マカオに諭される前だから、そんなに過去の事でもないが――自分を思い返す。
普段の騒ぎに、混じることなく一歩引いたところで見ていなかったか。このギルド
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