暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.22 蠢く陰謀
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言ってるなら…………いいだろう、格の違いを見せてやるよ」
「(何だ、これは……鬼?)」

 瞬きの後、ソルはワタルの背後に幻視した。

 見た事も無いような恐ろしい形相をした異形の化け物の姿を。

 化け物の怒りの視線に絡め取られたソルは、蛇に睨まれた蛙の如く硬直してしまう。

「俺は怒ってるんだ」

 冷たく言葉を言い放ち、一歩踏み出したワタル。

 仲間を傷つけた者たちへの怒りからの言葉だったが……実際はそれだけではなかった。
 マカオとの語らいとエルザとのふれあいで、少しだが、心が前向きになろうとしていた矢先に、中務――ヤツボシの家の者に付き纏う怨霊に遭遇、否応なしに過去を思い出させられた事への苛つきも含まれていたのだ。

「ッ!!」
「ムッシュ・ソル?」

 八つ当たりだという事はワタルには分かっているが、そんな事情は知らず、現在進行形で怒気を向けられているソルにはそんな事は分からない。
 ジュビアの反応から、さっき見たのは錯覚だと頭では理解したが、彼の足は理性とは裏腹に、ワタルから離れるように後ずさってしまう。
 今のワタルは危ないと、理性でなく本能で判断した身体が取った防衛行動だった。

 そして、ソルだけに向けられたワタルの敵意……いや、殺意の視線に、ソルは自分が次の瞬間に心臓を貫かれる光景を幻視し、自分の胸を手で覆ってしまう。人間――動物の命の危機に対する本能的な防衛行動だった。

 時間にしては一秒にも満たない。だが、濃密な殺気にさらされて息さえつけないその時間は、ソルにとっては何倍にも引き伸ばされて感じられたのだが……

「ゴホッゴホッ!」
「……ルーシィ、大丈夫か?」

 ワタルの意識が急に咳き込んだルーシィに行って敵意が霧散した事で、ソルは麻痺していた身体の自由を取り戻し、大きく息を付いた。

「(さっきのは錯覚だ……現に、ジュビア様はなんともないじゃないか)」

 ソルは幽鬼の支配者(ファントムロード)の幹部、エレメント4としての矜持からそう思い込み、顔に付着した雨粒と一緒に冷や汗を拭うと、口を開いた。

「(そうに決まっている……)……そ、そうそう。我々の目的、でしたね……我ら偉大なる幽鬼の支配者(ファントムロード)は、ハートフィリア財閥(コンツェルン)からある依頼を受けたのですよ」
「依頼?」

 ワタルの意識は再びソルとジュビアへ。
 感じるのは警戒だけ……殺気はもう感じない事にソルは安堵した。

「ええ、そうです。依頼は『家出した娘を連れ戻して欲しい』というものでして……」
「へぇ……何の根拠で、その娘がルーシィだと?」

 ここに着く前に見た光景は、誰がどう見てもルーシィを捕まえるためのものだった。彼らのターゲットがルーシィと判
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