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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九九幕 「ダイヤモンドは砕け散る」
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にどうなろうが、ここで私が君の首を締めたらそんなもの関係ないんだよ」

『―――決めてきたやつが見ず知らずの人間でもギブアップしたか?お前、俺が相手だから手加減してくれてるからって心の何処かで油断してんじゃないのか?』


女性の言葉が、昨日の兄と重なった。
あの時は絶対に諦めないと言い返した。でも、諦めない事と勝つことがイコールになる訳ではない。見も心も、プライドも、全てにおいてユウが敗北した瞬間だった。
そんなユウの姿にふん、と鼻を鳴らした忍者女は、興味を失ったように踵を返してどこかへ歩いていく。それを呼び止め、実力で止める事も――今の弱いユウにはどうしても叶わないことだった。

「ま、実際ここで殺す気はないから安心していいよ?」
「何が、安心ですか・・・ッ!人をさんざん見下して、情けのつもりですか!?」
「お姉さんに当たるのは良くないんじゃないかな?君が今抱いている激情は――ぜーんぶ君が弱いからいけないんだよ。才能もない、全部ひっくり返す頭脳も無い、ついでにいうと覚悟も全然足りてなーい。後でまた来るから、そのへにゃった根性どうにかしたら?」

それだけ言うと、忍者女は跳躍して旅館の屋根に乗り、そこからどこかへと姿を消した。

残されたユウの心の内に、様々な感情が渦巻く。だがその中でも最も激しかったのが――

「僕に、覚悟が足りない・・・・・・僕には、何も変えられない・・・・・・違う。違う違う違う違うッ!!駄々をこねてたって変えられないから僕は今の生き方を選んだんだ!!」

例え追い付けなくとも前へ進む道を選んだ。間違っていない筈だ。兄だってそれに何も言わなかったし、充足もあった。成長して、前へ進んできた。夢を追いかけて、目標を追いかけて、その為に妥協せずに踏ん張ってきた。

なのに、あの人は「お前には何も出来はしない」と言う。

それを決められるのは自分だけだと今まで叫んできたはずなのに、決められるのが本当は誰なのかという事実へ反逆できなかった。身の程を知った上で戦うと決めたのに、戦いにもならなかった。

膝を悔いて、握った拳を地面に叩きつける。乾いた音が鳴った。

「あの人の言っていることは正しかった!全部正しかった!だから言い返せなくて当然・・・当然の筈なのに!何で・・・・・・なんでこんなに悔しいんだよぉぉぉッ!!畜生ぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーッ!!!」

いっそこの地面を砕いてしまいたいほどに強く地面に拳を叩き下ろしたが、地面は僅かに表面が抉れるだけだった。その事実が更に自分の非力を象徴しているような気がして――ユウはその後、簪が不審に思って探しに来るまでの間、ずっとそこで悔し涙を流した。

まるで、思い通りにいかない現実を嘆くように。
 
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