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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九九幕 「ダイヤモンドは砕け散る」
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口調に反してその動きは一つ一つが実に狡猾だ。隙を見せる風に装った誘いからフェイントまで、常に体術の優先順位を変動させながら息も切らさず激しい攻撃を続けてくるその実力は本物だ。
無論、だからと言って大人しくやられる気など毛頭ない。むしろ、このまま負けてなるものかという闘争心に火が灯っていた。心臓の高鳴りが全身に熱を送り出し、肺から吐き出される空気がとても熱く感じる。
だが、同時にユウは別の感覚を感じ取っていた。それは、ジョウと組み手をしてあしらわれる感覚だ。まだ相手の住んでいる領域に足を踏み入れてすらいないのだという実力差の自覚。それをこの忍者もどきはユウに与えていた。
「――今、『勝てない』と思ったでゴザルな?」
「!」
「『今は勝てない。でもいつか絶対に勝ってやる』・・・・・・違う?」
「・・・ゴザル口調が取れてるよ、似非忍者さん」
「いいのよ別に。面倒くさいし普通に喋らせてもらうわ」
心を見透かされたような気分になった。嫌応でも実力差が理解できてしまったがゆえに、ユウは確かに勝てないと感じた。世の中にはまぐれや奇跡と言うものが沢山ある。しかし、実力はその不確定要素を排除してしまう。ユウの信条である「努力は無駄にはならない」は、逆を言えば努力が足りていなければ意味が無いのだ。
目の前の相手はつまり、今までに積み上げた努力だけでは埋められない差を見せつけている。今のユウでは食い下がることが出来ても、本気で来られれば敗北するだろう。なまじ目標である兄の事を知っているだけに、その感情論では埋めがたい差が存在することを誰よりも理解できている。
――悔しい。これほど悔しいのに、ユウには何も言い返せなかった。ただ肩を震わせて、その感情を抑え込む事しか出来ない。
そんなユウを厳しい目で一瞥した忍者女は、致命的な一言をユウの心に刺した。
「つまりさ、もうユウちゃんは私に気持ちで負けてるんだよねぇ。ロマンチストのふりをした徹底的なリアリズムで動いてる。確率で99%なら、残りの1%が事実上は存在しないっていう諦めた自分。一種の”負け犬根性”があるんだよ」
「それは・・・ッ!・・・・・・くそっ!!」
言い返せない。負け犬根性とやらが確かに心の中にあって、それを否定したいけれどすることが出来ない。何故なら自分は既にそれを自覚していて、意地を張るのが虚勢だという事も知っているから。中学時代に兄と本気で喧嘩したあの日に、ユウは虚勢を張るのを止めたのだ。
勝てない物は勝てないと認め、それでも努力を積んでいつか届くように歩き続けよう、と。
しかし。しかしそれは――
「ユウちゃんさぁ、もうギブアップしてるよね?相手がちょっとふざけたお姉さんだから死にはしないとか、心のどこかで考えちゃってない?ユウちゃんの努力が将来的
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