暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九九幕 「ダイヤモンドは砕け散る」
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るのでは道理に合わないではないか。一夏は別の要因で眠っているのだろうか。突然眠ってしまう病気というのもどこかで聞いたことがあるが。

「どちらにしろ、ゴスペルが好戦的になったことでアンノウンの戦闘宙域は停止したようです。一旦ラウラさんとシャルロットさんに引き継いで、一夏さんを旅館へ預けましょう」

自分の幼馴染に起きた突然の異常。今、いったい一夏に何が起きているのか。じわり、と緊張の汗が掌に広がった。大事でなければいい。そうならばいったん体勢を立て直して改めてアンノウン討伐なりなんなりすればいい。だが――

取り返しのつかない事態には、なっていないよな?そう自問する箒の表情は晴れなかった。

同時に、セシリアも平静を装いながらも考え事をしていた。


(あの頭をかき乱す奇妙な”歌”・・・箒さんには聞こえていなかったようですが、あれはアンノウンから発せられ、”一夏さんを中心に強くなって”いました。まるで一夏さんがスピーカーかマイクの役割を果たしていたかのようじゃないですか――あれは一体、何ですの?)



 = =



床に手をついたまま足払いをかけるが飛んで躱される。だが、それをユウは狙っていた。素早く体勢を立て直しながら体を回転させて、空中の忍者もどきにひじ打ちを叩きこむ。手応えが浅い。腕でガードしながら体を丸めて衝撃を殺された。
だがまだ追撃できる。素早く間合いを詰め、左右の拳をボクシングのように不規則に放って責め立てる。忍者もどきはその拳をかすめるほど近くに感じながらも、かなりギリギリのタイミングで躱してみせた。拳速には自信があったユウだが、相手が上手だ。

「その隙、いただきでゴザル!」
「うッ!?くそ――」

放った左拳を手で受け止められる。咄嗟に右拳を突き出そうとするが、その行動を誘発するための罠を疑ったユウは右手を胸のガードに回す。直後、忍者モドキの針を放つような掌底がガード越しに体に叩きこまれた。衝撃に大きく身体がのけぞり、中庭へと体が落下する。

「がふッ!?げっほ、ごほ・・・ぐ、ぅ」

背中から落ちたユウは掌底で受けたダメージによる不快感を吐き出すように激しく咳込みながら、忍者もどきを睨みつける。

「あーらあら、一丁前なのは口だけだったでゴザルな?」
「・・・・・・けほっ・・・否定はしないよ。現に思いっきり押されてるし」

――実力で負けている。その事実を認めざるを得なかった。既に身体のあちこちに生傷を作っているユウに対して忍者もどきの女性はそれらしい疲労を顔色に出さない。ライダースーツの所為で分からないが、戦ってきたユウには分かる。彼女の受けているダメージは精々ガードの際にほんの僅かに起きた毛細血管の破裂程度だろう。そんなものはダメージとも呼べない。

ふざけた
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