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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九九幕 「ダイヤモンドは砕け散る」
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戦いは、アンノウンとシルバリオ・ゴスペルの戦闘に逆戻りした。但し、暴走したゴスペルの動きは、あのアンノウンほどではないがカタログスペックを超えた速度を叩き出している。そのことを伝えると、通信に割り込んできた束が興味深そうに口を挟む。

『操縦者防衛本能だねぇ。そのアンノウンとやらを追い払うために、操縦者の意思を無視して形態移行する気だよ。エネルギーの回復もその前触れだろうね』
「操縦者の意志を無視して・・・そんなことが?」
『理論上はね〜・・・そのヒコーキがよっぽど怖かったのかな?』
「それより姉さん。一夏の意識が戻らないんですが・・・」

ゴスペルの暴走ももちろん一大事だったが、現在の箒にとっては一夏の意識が無い方が一大事だった。ゴスペルのゼロ距離射撃を受けて意識を失った後、箒は一夏を回収してセシリアと共に戦闘空域からの戦術的撤退を余儀なくされていた。
ISの絶対防御によって一夏の身体に外傷は見当たらなかったが、頭部にあれだけの砲撃を受ければ意識を失うのも無理はない。問題は、一夏が失神したまま目覚める気配が無い事だ。万一にも脳へのダメージなどあったらすぐにでも病院に連れて行かなければならない。

共に剣を学んだ大切な幼馴染なのだ。箒の最初の友達でもある。心配でない筈が無かった。

『バイタルを見る限りだと失神というよりレム睡眠状態にあるねぇ・・・ふーん』
「レム睡眠?では一夏はただ寝ているだけ・・・ということですか?」
『データだけ見れば・・・そだね』
「はぁぁぁ〜〜〜・・・・・・」

箒は盛大に、大仰に溜息をついた。人を心配させておいて寝ているだけとはいったいどういう了見だ。ISに抱えられて空中飛行中だったのに、一夏にとってはゆりかごか何かの上に感じていたとでも言うのだろうか。一方的にこき使われた気がした箒は、心配して損したついでにこのまま一夏を海に落っことしたい気分に駆られた。海に落ちれば流石にこの馬鹿も目を覚ますだろう。

そうと思えば有言実行。呼吸はISの方が確保してくれるので、腕に抱えた一夏を持ち上げて――という体勢まで行った所でストップがかかった。

「お待ちになってください。レム睡眠と失神は全く違うものです。失神は不意に意識が消失する事ですが、睡眠は自発的に行うもの。一夏さんがレム睡眠状態になっているという事は、ゴスペルの攻撃を受ける前後で既に空中で眠っていたことになりますわ・・・それも失神ではなく、です。それは異常な事でなくて?」
「それは・・・確かに。一夏は立ったまま寝るような器用なことが出来る訳はないし、何より戦闘中にいきなり寝るなんて常識では考えられないな」

セシリアの冷静な指摘に箒も一夏を投げるのを思い止まる。一瞬「うるせえ一夏ぶつけんぞ」とセシリアに投げかけたが、確かに寝てい
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