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Eve
第一部
第一章
現実から虚実へ
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ッとした目で俺のことを見据えていた。
「もうちょっといじっててもいい?」
「……やだ。」
イブが俺から顔を背けて、明後日の方向を向く。だけれども俺は動かす手を止めない。止めずに、ただ気の赴くままにいじり続ける。
「やだって言ったのに……」
視線を逸らしながら、頬を朱に染めてイブは呟いた。
そりゃあな。やだって言われたら、むしろやりたくなるじゃないか。というよりも、やるのが礼儀じゃないか?
俺は空いた左の手でイブの髪を梳きながら、イブの言葉などなかったつもりで口に頬辺りをいじり続けた。ただひたすら、楽しみながら……。

……いつの間にか、どれほどの時間が過ぎていたか。俺は飽きもせずにイブの唇に触れる指でイブにいたずらを続けて、イブはただじっとそれの様子を眺めているだけで……そんな他愛のない時間が早々と過ぎていた。
「……あの、きょうや。」
「なに。」
「……いふまで、ほーやってうの。」
左手も右手も、相も変わらずに各々の仕事をこなし、イブを全身全霊楽しんでいる俺に向かって、そんな質問を投げかけてくるイブ。ふと気がつけば、そんな俺の様子を見てかイブの目はさらに細く、じとっと重たくなっていた。
「イブ、声聞き取りづらいよ。」
「ほれはひょーやのせい。ボクのせいじゃないよ!」
抗議の声。だがその声は俺には届かん。
んー、いつまでと聞かれたか……そうだな。
「んー、俺が飽きるまで?」
「……それ、ほれくらい?」
イブが紡ぐ言葉と一緒に、イブの左手が俺の腕を柔く、でもしっかりと掴んで離さない。流れるように自然に止めようと、柔く力を込めているんだろうけれども、そのくらいの力で俺を止められるはずもない。それくらい、イブ自身だってわかっているだろうに……。
それにイブだって、本気で止めようとしているわけじゃないって。なんとなくだけれども、そう思う。自意識過剰かもしれないけれど……。
だから……。
「……1時間、くらい?」
「え……?」
俺の答え。イブの表情が凍った。
その反応は予想済みだよ。今までこんなに長時間いじること自体……そもそも俺自身、イブの唇に触れていじるだなんてことなんて、ほとんどなかったもんな。
俺は微笑み。その微笑みを向ける先のイブの凍り付いた表情は、段々と諦めを帯びたような、引き攣ったような普段はなかなか見られない表情に変わっていった。
「……ほんなには、やだ。」
そう、小さくイブは呟いた。けれども、俺の腕を掴んでいた力は弱まって、少し困ったように眉を歪ませるイブ。頬を朱に染め、腕の力はもう、添えてるだけって。本当にそれくらいまで、力は弱まっていた……。
俺の勝ちかな。
小さく心の中で呟いて、心の中で大きくガッツポーズをかました。さて、再びイブの可愛らしい唇へと指を這わせようかと、イブの唇手前辺り
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