第百六十二話
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第百六十二話 妹にもしっかりと
梨花は妹の梨奈にもだ、いつもこう言っていた。
「お父さんとお母さんも言ってるけれど」
「歯は、よね」
「身体全体がだけれどね」
「お口の中も綺麗にしないと」
「よくないのよ」
お風呂に一緒に入りながらの会話だった。
「だからお風呂でしっかりと身体を洗ってね」
「毎日よね」
「今みたいにね、そうしてね」
「寝る前には」
「歯をしっかりと磨いてね」
そうして、というのだ。
「寝るのよ」
「うん、わかったわ」
「若し忘れたら梨奈が困るから」
身体の全てを清潔にしないと、というのだ。身体にしろ髪の毛にしろ歯にしろ身体の全てをというのである。
「だからね」
「わかったわ、それにしてもね」
「それにしてもって?」
「お姉ちゃん清潔よね」
こう姉に言うのだった。
「物凄く」
「そのことね」
「うん、お風呂入るの好きよね」
「大好きよ」
「魔女だから?」
「いえ、魔女だからじゃなくてね」
そうしたことではなく、というのだ。
「綺麗にしておきたいから」
「だからなの」
「そう、だからいつもね」
お風呂に入って歯を磨いて、というのだ。
「綺麗にして。いざという時に大変なことにならない様にね」
「そうなの」
「そう、だからなのよ」
梨奈に対して優しい笑顔で話す。
「それでなのよ」
「そうなのね」
「だから梨奈もね」
「うん、綺麗にするね」
姉の言葉に素直に頷いた妹だった。
「そうするね」
「そうしてくれたら私も嬉しいわ」
「お姉ちゃんみたいにいつも綺麗にして」
そして、と言うのだった。
「お姉ちゃんみたいな魔女になるから」
「梨奈も魔女になるの?」
「今度お母さんに言ってみるね」
こうしたことも言う妹だった、そうして梨花はその妹と一緒に楽しく身体を清潔にして最後は歯も磨くのだった。
第百六十二話 完
2014・8・22
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