第三十八話『勘違いのお買い物』
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れたんだ。無下には出来ない」
至って真面目な……というよりも何時も通りの表情でスウェンは言うけど。
「すまないな、簪。付き合わせてしまって」
「ううん、私も新しいの買いたかったし」
手に持った袋をスウェンに見せながら私は言う。そしてスウェンと一緒にレジに向かう。
「お!よお、スウェン!」
「!?」
陽気な声でスウェンの事を呼ぶ男子……織斑 一夏……。
「スウェン」
「何だ?」
「先帰るね」
私は逃げるように、スウェンに顔を合わせずにその場から離れた。
「……簪」
「あれ、今の子って」
「4組の更式簪、俺の友人だ」
「ほう、4組か……一夏を見てまるで逃げるように行ったが……一夏、お前はまた何かしたのか?」
ジト目の箒に焦りながら一夏は
「いや知らねぇって! 俺初めて会ったし!……あ、そういえばさっきシャルロットと会ったぞ」
話を反らすかの如く一夏は言う。
「シャルロットが?……まさか先程の気配は……フッ、全く」
スウェンは軽く笑う。一夏達は何故か全くわからない様子だ。するとスウェンは手にした水着を持ち、元あった場所へ向かった。
※
「はぁ……」
結局スウェン達を見つけることが出来ずに、寮に帰ってきた。今でも思い出せる、デパートに向かうスウェンは何処か楽しそうな表情をしていた。僕はあんなスウェンを見たことないや。
部屋に戻ると
「帰ってきたか、シャルロット」
椅子に座ってスウェンはコーヒーを飲んでいた。
「随分とお楽しみだったみたいだね」
「まあ、楽しくなかったと言えば嘘になるな」
「そう良かったね」
スウェンに対して冷たい反応しか出来ない……僕って最低だ、あの子に嫉妬しちゃって……どうスウェンと話せば───
「シャルロット、明日は空いているか?」
「え?……えっと、うん、予定は無いけど……」
「なら明日、街へと一緒に行かないか? 臨海学校の為に水着を買いに行きたいのでな」
「今日買いに行ったんじゃないの?」
「俺としたことが、財布を忘れてしまってな……買えなかったんだ」
「そっか……一緒って、二人きり?」
横目で見るとスウェンはこくりと頷いてくれた。
「そうだな……もしあれならラウラも──」
「いや!二人で行こう!一緒に行こう!」
「あ、ああ……」
二人きり……スウェンと二人きり……これをチャンスにしなきゃ!……あの子の事も気になるけど、今は明日の事だけを考えないとね!
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