一話「序章」
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「どうするよ?最近、主任は全然口を閉じたままだし。もしかしたらお怒りになる可能性だってあるぞ?」
「そんな事になったら、俺達は全員クビだ!冗談じゃねぇ……」
「俺達が全員で言ったとしても、相手は主任だ、俺達の言っている理由が嘘だと捉えられる」
「まぁ……とにかく、今日はこれまでにしよう?明日も研究が続くだろうし、各自それぞれ寮へ戻って休んでくれ?」
研究員を束ねるリーダーがそう言い、部下達を解散させ、最後にシンを見つめて彼もラボを後にした。
「…シン……」
ベッドに横たわるシンは、一人になった事を確認すると、自分に付けられたこの名前を何度も呟いや。
「…シン…シン…シン……」
だが、今の彼はその名前以外の記憶は一欠けらも残っていなかった。ただ、自分の名前を繰り返し唱えるだけ……だが、
「……誰だ?」
シンが頭の中に浮かぶ女性のシルエットを思い浮かべ、訪ねる。どこかで見覚えのある女性であった。それも、銀髪を棚引かした美しい女性で……
「誰だ……」
実は、研究員らが彼の意識に気づく前夜、シンは既に意識を取り戻しており、今夜と同じように女性をシルエットを思い出してはその人物に訪ねていた。
「お前は、知っている。俺を……」
すると、シンは独りでにベッドから上体を起こし、そしてベッドから降り、白衣の着物越しに研究室の入口へ歩み寄り、被験で得た超人的怪力でカードキーロックの扉を両手でこじ開けたのだ。
「アイツは……俺を、知っている……」
シンが研究施設から脱走した事に寄り、施設内は警報が鳴り響き、そして数十人ものガードマンが逃げ出したシンの行方を追い、施設内を探し回った。
しかし、施設内には誰もいない。何故なら、彼らが気がつく前からシンは人間の倍もの身体能力で、瞬く間に逃げ出していた……
「探せ!探すのだぁ!!どんな事をしてでもシンを連れ戻せぇ!!!}
勢いに怒鳴る鬼守はガードマンらへ激しく命じる。
*
「今日も疲れたな……」
返りの夜道、肩をポキポキ鳴らしながら帰宅する智代は昨夜の事件の噂など耳にすることも無く、平然と帰宅路を進んでいた。すると……
「ん……?」
ふと、彼の背後からわずかだが何者かの足音と、その気配が漂ってくる。学生時代は腕の立つ武道家であったために相手の気配を感じ取る力は社会人になった今も健在のようだ。
「何だ……一瞬、殺意のようなものが?」
足音が徐々に近付き、恐怖を感じた智代は、すぐに背後を振り向いた。
「なっ……!?」
智代は、そう簡単には声が出なかった。何故なら、振り向いて矢先に立つ人影は、人間とは違う、異形の姿で彼女の背後に立っていたのだ。
全身ゴツゴツした緑色を持つ不気味な皮膚に覆われ、頭の額からは二本の黒く長い虫のような触角が生
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