SAO
[2]次話
無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城。
それがこの世界の全てだ。
職人クラスの酔狂な一団がひと月がかりで測量したところ、基部フロアの直径はおよそ十キロメートル、世田谷区がすっぽり入ってしまうほどもあったという。その上に無慮百に及ぶ階層が積み重なっていると言うのだから、茫漠とした広大さは想像を絶する。総データ量などとても推し量ることが出来ない。
内部にはいくつかの都市と多くの小規模な街や村、森と草原、湖までが存在する。上下のフロアを繋ぐ階段は各層にひとつのみ、その全てが怪物のうろつく危険な迷宮区画に存在するため発見も踏破も困難だが、一度誰かが突破して上層の都市に辿り着けばそこと下層の各都市の《転移門》が連結されるため誰もが自由に移動できるようになる。
そのようにしてこの居城は、二年の長きにわたってゆっくりと攻略されてきた。現在の最前線は第七十四層。
城の名は《アインクラッド》。約六千もの人間を呑み込んで浮かびつづける剣と戦闘の世界。
またの名をーー《ソードアート・オンライン》。
[2]次話
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