番外伝
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よい」
既に随分と加わってしまっている年齢を心配して、マルコが言うのだが、それを白ヒゲはやはり一蹴。
「ぐららら、ジンベエの息子が一端の海賊の道を踏み出したんだ。こんな時にまで酒を飲まずにいられるかぁ……船ん中にいる奴ら全員呼んで来い。宴だぁ!」
無類の酒好きの船長の言葉に、彼らが従う術をもっているわけもない。
二人揃って静かに頷き、船室へと姿を消す。
「しかし……ハントが海賊とは」
「……そういやぁそうだな、少なくともあいつに海賊は似合わねぇと思っていたが」
「この男に感化されたんかのう」
顎に手を置いて考えるジンベエがもう一枚の手配書を取り出してそれを見つめる。
「そいつは?」
「麦わらのルフィ。ハントが乗っておる船の船長で、アーロンを倒してくれた男……じゃのう」
「……」
ちらりとその手配書のルフィを見つめ、だが一億ベリーという数字でも白ヒゲからしてみれば大した興味のある数字ともならないらしく、そのままそっぽを向いてしまった。白ヒゲの行動にジンベエは何とも言えずに、小さく笑みを。
「おやじぃ! 酒の用意できたよい!」
マルコの声と共に、様々な酒樽をもった船員たちが顔を出す。
「ハントが賞金首になったって!?」
「初頭で6千万か! 俺んときよりすげぇぞ!」
「あいつ強かったもんなぁ」
ハントと親交のあった一味だけあってそのほとんどがハントのことを知ってるらしい。口々に思い思いのことを呟いては所定の位置に腰を下ろす。ジンベエや白ヒゲを含めた全員に酒がいきわたった時、白ヒゲが立ち上がって言う。
「ぐららら、息子ども。これから一人前の道を踏み出す鼻たれに……乾杯だぁ!」
「乾杯!」
ハントは白ひげ一味ではない。
ハントの師匠、ジンベエも白ヒゲ一味ではない。
だが、それでも白ヒゲ一味はジンベエやハントのことをそう思っているかのように、喜びの宴をあげるのだった。
ジンベエはまだ知らない。
ハントこそがアーロンを倒した男だということを。
ハントを苦しませていたのはアーロンだということを。
いつか、それを知るときが来るのだろうか。
とにもかくにも、ジンベエと白ヒゲたちの喜びの宴は一日中続く。
ジンベエも、今は笑顔だった。
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