番外伝
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の目じりにも何かが浮かんでいる。
「……」
「……」
どこかやさしい空気が二人に流れていた。
もしかしたら二人が爆笑したのは心の底からホッとしたということもあったのかもしれない。
海賊になった息子の無事の知らせとして、それを受け取り、ハントの笑顔があるということはもちろんナミも笑顔でいるということは当然伝わってくる。だから、嬉しさが相まって爆笑した。
それは彼女たちなりの、心配の仕方なの――
「にしてもやっぱ、この写真おもしろいわねー」
「ぶっ! やめてって! ほんと笑い止まらなくなるんだから! コレ!」
――……だろうか?
とにもかくにも、こうして故郷へとハントの知らせは届く。
ハントが賞金首となって明らかな反応を示す人物はまだいる。
グランドラインのど真ん中。
穏やかな波にのった巨大な海賊船に一人の魚人が、珍しく頬を緩ませてそこにいた。普段、客や敵にあたる人物が船にいるならばその巨大船モビーディック号の甲板には所狭しと人が並んでいるはずなのだが、今はこの船の船長とその魚人のみ。つまりは魚人は客や敵という位置にあたる人物ではないということだろうか。
ともかく二人っきりの船上で、まずはその船の船長――白ヒゲ――が口を開いた。
「随分とご機嫌じゃねぇかぁ、ジンベエ」
「こいつをみてくれ、オヤジさん」
普段いかつい表情が原則の魚人ジンベエがその気持ち悪い笑みを張り付けたままで一枚の手配書を白ヒゲへと差し出し、それを見た白ヒゲが「ほぅ」と小さく頷き、ジンベエの表情の意味を理解した。
手配書に記されてあったのは『海坊主ハント』という文字と『六千万ベリー』という額。白ヒゲやジンベエからすればその額はとるに足らない海賊の額でしかないが、なんといっても二人はハントのことを知っている。
ジンベエはハントの師匠で、白ヒゲはハントが唯一親しくしていた海賊一味の船長だから。
「ぐらららら。あの鼻たれが初頭手配で6千万たぁ、幸先がいいじゃねぇか」
「まったく」
だらしのない表情で頷くジンベエは、はっきり言ってしまえば気持ち悪いのだが、白ヒゲもそこは快活に笑って気にしない。
「マルコ! ジョズ! おめぇらもよく相手してやってただろう!」
雷鳴かと思われんばかりの白ヒゲの声に、どこかの船室にいたであろう、呼ばれた二人が姿を現した。
「ああ、ハントがついに賞金首に……まぁ当然といえば当然だよい」
「……」
マルコの独特な口調に、ジョズが無言で頷いて同意する。が、頷くだけ頷いて動こうとしない二人に対して、白ヒゲは眉をひそめて「なにしてやがる。宴の準備じゃねぇのか、ここはぁ」と二人につぶやく。
「おやじは酒はひかえろ
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