番外伝
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れた家族が心配しないはずがない。
この手配書はそれだけハントが無事だったという知らせに他ならないが、それ以上にこれからハントの身に危険が差し迫るであろうことを示しているソレでも確かにあるのだから。
――なんということを。
二人の気持ちを汲んでやれなかったゲンゾウが「そ、その――」と帽子をとり頭を下げようとしたところで「――ぷっ」
どこからが空気が漏れる声が聞こえた
「?」
その音の意味が分からずに首を傾げたゲンゾウをよそに、その音が皮切りとなったらしい。
「っ……ふふふ、あはははは!」
「あっははは!」
ベルメールとノジコが一斉に笑い出した。
腹を抱えて、肩を揺らして。それはもう全力で。
「? ……?」
「なにこの笑顔! ハントかっこつけすぎ! ぶっ!」
「ひー、ひー……だめ……本当だめ。面白すぎて苦しい」
「っつうか全身びしょ濡れで手配書になるってなに! 格好つけるならせめて濡れてないところでしろっての!」
「あはははは! やめてベルメールさん、笑いすぎて死んじゃう!」
爆笑。
もう、ただ爆笑である。
どうやらこの二人、ハントの心配をしすぎて反応がなかったわけではなくただ単純に笑いをこらえて、ということらしい。
「……」
あまりの二人の態度に、ゲンゾウが頬をひきつらせながら「ごほん」と咳払い。それに二人が気付いて、いまだに笑いを引きずりつつも「はー……はー……ごめんごめんゲンさん。わざわざこの……ぷっ……おもしろいの持ってきてくれたの?」
「ゲンさん必死な顔で…………こ……この手配書をもって……くく――」
「ぶっ! ふっふふふ……ちょ、ノジコやめなさい。こ、呼吸でき……ふふふ……ない、から」
「……」
どうやら笑いのツボにはまってしまっているらしい。
ゲンゾウまでも笑いの対象となってしまった。
当分は収まりそうにない、二人の笑いにゲンゾウはため息を吐いて、ただ思う。
――笑顔なら何でも良いが……ナミとノジコとベルメール……ううむ、なんでハントがひねくれなかったかわからんな。
どこか遠い目で「また来る」と言い残してゲンゾウがベルメール宅を出ていく。
「……はー、はー」
「……ふー、ふー」
やっと笑いが収まったらしく、肩で息をしてゲンゾウが残していったハントの手配書を見つめる。
「……うん、なんにしても元気そうでよかった」
「なんかちょっと大人になった感じかな?」
「……ナミとなんかあったのかな」
「かもね」
二人が、さっきまでの笑いとは違う種類の笑顔を突き合わせる。ベルメールが、そっと目じりに浮かんでいた何かを指でふき取るさまに、ノジコは気付かないふりをして窓の外を見つめる。ノジコ
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