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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十話
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。卿らの望む景色を見せていたのはこやつだよ」

 そうしてにやり、と笑う、アニィと名乗った少女。その眼はやはり()()。金色の髪と相まって、まるで金色の炎のような印象を受ける。

「さて……卿が目覚めたという事は、もはや我らの出番もあるまい。高みの見物と行こうではないか、エイン?」
「分かった……せいぜい楽しませて、黒の剣士」

 エインヘルヤルがそう呟くと同時に、《白亜宮》の景色が変化した。いつの間にか巨大な立橋が出現し、その上にエインヘルヤルとアニィが移動している。

 そして――――

「では、よろしく頼むぞ、ホロウ殿」
「は〜い、分かりましたぁ!」

 三人目の人物が姿を現す。その姿を見て、キリトは思わず口走っていた。

「刹那……!?」

 シャノンの妹、グリヴィネこと天宮刹那と、彼女はそっくり…顔立ちに至っては同一…な姿をしていたのだ。こちらのほうが何歳(いくつ)か年上か。マフラーも白いし、瞳も()()い。何より刹那よりも幾分か甘ったるい、明るい表情をしていた。刹那のような生真面目さは感じられない。

「うーん、その反応はもう飽きましたねぇ……私は《七剣王》第一席(リーダー)を任されてる、ホロウ・イクス・アギオンス・スプンタマユです。そうですねぇ……どうしてもあなた達風(日本語)の名前で呼びたいなら、天宮(あまみや)薄葉(うすは)って呼んでください」

 緊張感のない声で告げる、ホロウと名乗った少女。

「《黒の剣士》さんの相手をしろ、とお兄様に言われてきました」
「……つまりお前が、俺の相手、ってことか……」

 眼前の少女からは、まるで緊張感を感じない。だが、それと反比例するかのように、圧倒的な重圧を――――たとえて言えば、《神格》を彼女から感じる。

 だが、それに怖気づいていてはいけない。

「《夜空の剣》、《青薔薇の剣》」

 その名前を呼び、強くイメージする。そうすれば、彼らが答えてくれるという事は、なぜかわかっていた。

 期待通り、漆黒の剣と半透明の剣が、キリトの掌中に出現した。頼もしい重量が伝わってくる。

「準備、できたみたいですね。うーん……《トゥルーエクスキャリバー》は貸しちゃってるし……じゃぁ、これで行きましょう。《ハルワタート》《アムルタート》」

 ホロウのもとに出現したのは、鏡合わせのように瓜二つの二本の長剣だ。片方が金と赤、片方が銀と青。

「それじゃぁ、行きましょうか!」
「――――来い!」

 キリトは、覚悟を新たに、二刀を構え直した。

 戦いの幕が、上がる。
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