18:冗談じゃない
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たの、もう忘れたの?」
もう、この視殺戦の回数も数えるのも疲れてきた。だが念の為、いつでも駆け寄れるようにはしておくべきだろう。
「うるせぇよ。ただ……ハッ」
デイドはユミルに見下したような一笑を付した。
「あのキリトといい勝負をしたと聞いたが……あいつが言ってたのと違って、テメェも大したヤツじゃねぇって感じて、ついな」
「……どういう意味?」
ユミルが少し奥歯を噛みながら、ギロリと睨み上げる。
「やっぱりテメェじゃ気付いてねぇのか。……テメェ、隣のアイドル様や、そのクソムカつくトカゲに飼い慣らされてるじゃねぇか。しょうもねーことにデレデレしやがって。そんなツラでも野郎は野郎ってか? それに思えば、キリト達と何があったかは知らねーが、そいつらとも馴れ合ってんじゃねーか。ソロとは思えねーヤワな野郎だぜ」
それにユミルはフン、と小さく鼻を鳴らす。
「ボクが野郎って点は否定しないよ。男なのは事実だから。むしろ重ねて肯定したいね。……だけど」
ここでユミルの睨める瞳が…………瞬時に氷のように冷たくなった。
「ボクが、この人達に飼い慣らされて……馴れ合ってるだって? ――……冗談じゃない」
吐き捨てるように言う。最後の一声は、心なしか恐ろしく低かった。
「ユミルさん……?」
シリカが悲しそうに問うも、ユミルはそれを完全に無視し、デイドを睨めつけたまま言葉を続けた。
「勘違いしないで。……ボクは誰も信用なんかしちゃいない。――……この場の、誰一人だってね……!」
冷たい目とは真逆に、鬼気迫る抑え難い何かをはらんだその声に、傍にいたシリカはもちろんのことデイドや俺ですら威圧された。
「ボクは義理あって、一時的に仕方なくこのパーティに連れられてるだけ。この件さえ終わったら、ボクはまた――……ッ!」
ユミルは不自然に言葉を切り上げた。
それと同時に、突然バッと首を横へ捻り、道路脇の森の遥か奥を凝視し始めた。
「おい、なに突然黙りやがってんだ。怖気づいてんじゃ……」
「うるさい。少し黙って」
ユミルが即座にピシャリと張り詰めた小声でその声を遮る。
「なン……」
「待て、デイド」
俺も即座に割り込み、彼の言葉を再び遮った。別に、彼に挑発している訳ではない。
俺はユミルとほぼ同時に、森の奥を睨んでいた。
索敵スキルに複数の反応があったのだ。ここから十数メートル先から……
「「……敵が来る!」」
俺とユミルは同時に叫んでいた。それを聞いた全員が同時に武器を抜く。だがシリカだけは、迷いにその動きが鈍っていた。
「ゆ、ユミルさん……あたしは……」
「話は後だシリカ!
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