第6話〜交易町ケルディック〜
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「へえぇ・・・ここがケルディックかぁ」
「のんびりした雰囲気だけど結構人通りが多いんだな」
「あちらの方にある大市目当ての客だろう。外国からの商人も多いと聞く」
「なるほど、帝都とは違った客層が訪れているのね」
「まぁ、帝都は専ら貴族中心、って感じだからな」
一時間ほど列車に揺られ、ケルディックにケイン達A班は到着した。
木造建築の家が林立し、所々に木々が生い茂っている。駅から出た方向の奥には、大市のの屋台らしきものが立ち並んでいて、それ目当ての客が行き交っているようだ。
「ちなみに特産品はライ麦を使った地ビールよ。君たちは学生だからまだ飲んじゃだめだけどね〜」
「いや、勝ち誇られても」
「別に悔しくありませんけど・・・」
「至極どうでもいい情報ありがとうございます・・・っていうか、教官。
まさか飲むために、A班に着いてきたんですか?」
「ギクッ・・・さてと、それじゃあ早速今日の宿を案内してあげるわ」
(あ、今ごまかしたわね)
(ごまかしたな・・・)
(やっぱりプライベート用だったのか)
ケインの考えが図星であったのか、少々引きつった笑みで彼らを宿へと案内するサラ教官であった。その時ケインは背後から何者かの気配を感じたが、殺意は無いようなので放っておくことにした。宿、風見亭に入ると、サラ教官の知り合いらしい女将のマゴットさんに宿に案内してもらうことになった。
「あっ、中尉?中尉じゃないですか!!お元気してましたか?・・・モゴモガ」
「ちょ、中尉はよしてくれよ、ルイセ」
ケインは、赤い髪をポニーテールにした少女に話しかけられ、珍しく狼狽した様子で彼女の口を両手で塞ぐ。名前はルイセといい、この宿のカウンターで働いている。
「ぐむむ・・・フーッ」
「お、おい!いきなり息を吹きかけるなよ!」
「中尉が口をふさぐからですっ!」
置いてけぼりを食らっている他の4人は、ひとまずマゴットさんに案内されて実習期間中に泊まる二階の宿泊部屋へ向かった。ケインとサラ教官は揃ってカウンター席に腰かける。
「君もなかなか隅に置けないわね〜」
「なんの話ですか。そんなことより、昼前から飲むつもりなんですか?」
役目を終えたサラ教官は、ちゃっかり地ビールとつまみをルイセに頼んでいた。てへっと可愛く舌を出す教官を篭手で殴りたくなるケインだが、ルイセが戻って来たので自重する。
「はい、どうぞです」
「ありがとう。ビール、ビール♪」
(・・・殴りたい)
サービスとしてルイセから冷水を貰ったケインは、彼女にお礼を言う。
「中尉はよせってどういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ・・・俺はもう、中尉じゃないんだ」
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