SS:歩き出した思い出
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が俺の所に挨拶回りに来るという奇妙な縁も出来たが。
チカンの知り合いというのもどうなのだろう。
「ん・・・・・・」
「?」
と、気が付いたらユウキがさっきから妙にもじもじしている。顔も少し赤いが、どうしたのか。
――トイレだろうか?実はこのアミュスフィアには便意や尿意を知らせる感覚が存在する。何故かと言うと、SAOと違ってプレイヤーは普通に暮らしている人間であるから当然自力でトイレに行く必要があるのだ。
だから、もし万が一寝たまま粗相をしそうになった時に気付かないのでは、ゲームとして致命的な欠点となりうる。よってそのような危機を現実の身体が感じたら、それをアミュスフィアはプレイヤーに速めに知らせるのだ。
しかしユウキが知りたがったのは別の事だった。
「その・・・お姉さんは、その後コイビトとか出来たのかな?誰かを好きになったとか・・・」
「ああ、そっちか。SAOクリア後にギルドの仲間とくっついたよ。ちょっと押しが弱い青年だけど、押しの強い彼女とはなかなかいいコンビだ」
「そっか・・・良かった!」
男に騙されたまま終わったのでは気の毒だから、ちゃんといい人に巡り合えた事を知って安堵したのだろう。相も変らぬ屈託のない笑みを浮かべたユウキにつられて俺も笑う。
何事も、物語はハッピーエンドが好ましい。残念ながらSAOでは悲劇も沢山起きていたが、心の花を咲かせた人も沢山いた。
彼らなりに頑張って悩んで、そして俺がほんの少しだけ背中を押した未来だ。
それを俺は、今では素直に誇らしく思う。
「じゃあ、その人がコイガタキになることはないね!」
「・・・って、気にしてたのはそんな事かよ。誰か取られちゃ困る男でもいるのか?」
ユウキはアハハと笑うばかりで答えなかった。
相変わらず謎が多い奴だ。凄腕プレイヤーだという話は聞いたが、俺は未だに彼女の事を全く知らない。
それとなく本人に聞いてみても、はぐらかされるのだ。知られたくないのだろう。ならば深く追求するのはよくない。
――さあ、今日はここまでにしよう。さて、明日は何を話そうか。
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