SS:歩き出した思い出
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ワーアップする機能があるならば、彼女は最強の戦士に変貌するだろう。その急激な感情転換に戸惑うばかりだ。
「そ、そうなのか?案外としょうもない男だな・・・いや、この状況下でも浅ましいと言うか」
彼女の外見はまぁ標準ぐらいのものだが、それでもSAOプレイヤーの男女比はかなり男に偏っている。
この状況でも女性と共に行動するのはとてもラッキーな事と言えなくもない。そんな環境下で更に上玉を手に入れようとしているのならば、ある意味大物なのかもしれない。
そんなことを考えるうちに、少女は俺の腕を掴んでぶんぶん振り回す。
「でも目が覚めました!捨てられたって思ったから悲しかったけど、考えてみればそんな女を顔で選ぶような最低な奴に守られて安心していた私が情けなかったことに気付きました!!」
お礼か握手のつもりなのかもしれないが、筋力差の所為で俺は投げ飛ばされないよう踏ん張るのが精いっぱいな勢いだ。
しかし、何かに目覚めた彼女は最早そんな些末なことは気にしていない。というよりもう目に入っていないのではないだろうか。俺の存在感は、彼女の脳の片隅からポロリと零れ落ちてしまったようだ。
「私の情熱を注ぐのはあのサイテーヘンタイヤローではなく、私の青春そのものだぁぁぁ〜〜〜〜!!」
「そ、そう・・・かい。まぁいいんじゃないか・・・な?」
この子とはあまり一対一で出会いたくないから、ボーっとせずに路上ライブ再開しよう。
そう心に決めた瞬間だった。
= =
「――その後、お姉さんはどうなったの?」
いつもより心なしか楽しそうに話を聞いていたユウキの催促。
物語の結末が気になってしょうがないと言う顔だ。
こうしていると本当に歳の離れた兄弟が出来たようで微笑ましい。
「男の方に仕返しして気持ちの整理をつけた後は、攻略組目指してギルドに入ったよ。入った後はギルドメンバーと一緒に歌を聞きに来るようになったな。SAOが攻略された瞬間も歌を聞いてたよ」
「ふーん・・・・・・歌に始まり歌に終わってるね、お兄さんの生活」
「そういう運命だったんだなぁ、多分。そういえば花束貰ったこともあったよ。歌の歌詞になぞらえた真赤な薔薇の花だった」
「へ、へえ・・・花束なんかもらったんだ。良かったじゃん」
ちなみに男への仕返しの内容は、別れるのが嫌だとごねて油断させた隙に自分の体を触らせて、ハラスメントコードで一発だったそうだ。
女の恨みは恐ろしい。あのゲーム内ではハラスメントで黒鉄宮に飛ばされた人間はほぼ外に出られない。性犯罪者と同じ扱いを受けるからだ。
寝ても覚めても閉じ込められたままでノイローゼになる人間もいたらしいので、軍の依頼で慰安ライブをやっていたものだ。
・・・・・・おかげで一部の元犯罪プレイヤー
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