SS:歩き出した思い出
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用心な質問だったと少し後悔した。彼女の表情が少し硬くなったからだ。
話したくない事を聞かれてはいい気分になどなるまい。気まずさから目を逸らし、川を見る。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水には非ず。
古典の教科書で誰しも一度は見たことがある、方丈記の一節だ。一見していつでも変わらないように見える水は、一時たりとも同じ場所に留まってはいない、という意味らしい。
現実世界の川は、永遠に枯れないとは限らない。
雪解け水とか地下水とか湧き水とか、それが永遠にあるという確証など無い。
だが、ゲームの世界ではどうなのだろう。
電力とデータのある限り、この世界の川は永遠のこのままなのだろう。
そんな永遠、本当にあるんだろうか。
永遠と言えば、と俺は一つの歌を思い出した。
アップテンポにギターを鳴らし、歌詞を紡ぐ。
この世には本当に永遠とか普遍といったものがあるんだろうか?――
今まで見てきた常識や現実がもしも全部嘘だったら――
間違いであったらいいのにって、君も思う事があるだろう――
そんな気持ちの答えは、君自身の心の奥底にあるはずだよ――
君の涙も悲しみも悔しさだって、その奥底から来ている筈さ――
その奥底で咲こうとしている情熱の赤い花を、満開に咲かせてみなよ――
その花がきっと君の言いたいことを全部表してるから、水をあげて咲かせてみなよ――
ふと気が付けば、少女はさっきまでの上機嫌が嘘のようにまた泣きながら、俺の歌を聞いていた。
歌い終えてから、彼女は自分の意思で自分が泣いていた理由をぽつぽつと語りだす。
SAOを始めたのは、オンラインゲームで知り合った人に誘われたから。それで顔も見たことが無い、名前も知らないその人の誘いを彼女はあっさり受けてしまった。その結果、望まないデスゲームに巻き込まれてしまったという。
そしてそのオンラインゲーム繋がりの友達である男性と、今まで行動を共にしてきた。
しかし今日、彼の方から一方的に「もう一緒に行動するのは嫌だ」と切り出されたという。
他に知り合いもおらず彼に頼り切っていた少女は、訳も分からなくなって飛び出してきたという事だ。
今になって思えば悲しかったんだろう、と彼女はつぶやく。
「彼、守ってくれるって言ったんです。最初の日に。ずっと何があっても責任もって守るって・・・・・・なのに」
そこで言葉を区切った少女の涙がピタリと止まる。
「彼がそんなこと言い出した原因は分かってます・・・!私より可愛い女の子とお近づきになったから、私を捨てようとしてるんです!!」
うがー!とでも叫びそうなほど手をわなわな震わせる少女は顔を真っ赤にして俺は顔も知らないその男への怒りを露わにしていた。
もしこのゲームに怒りでパ
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