SS:はじまりの思い出
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ついていけなかった。
少し悩んで、付いていけない時は人を頼るべきと思った俺は、この街のどこかにいるであろう友達に頼るためにメッセージ機能を立ち上げる。迷子対策の時のためにこれの使い方だけは忘れるなと叩きこまれたものだ。
だがそこには、俺が送るより先に既にひとつメッセージが送り込まれていた。
言うまでもなく、友達からだった。
2人は早々に合流し、これから街を出て次の街へと移動するそうだ。
そこには他にもリソースの奪い合いとか、優位性とか、このゲームの攻略のための行動とか・・・沢山の事が書きこまれていた。
要約するとこうだ。
――このゲームをクリアするために一刻も早く強くなりたいけど、俺を連れて行けば足手まといになる。だから2人で先に行く。面倒を見れなくてすまない。
その内容を反芻した俺は、それはそうだと納得せざるを得なかった。
俺の戦闘ときたら本当にひどい有様だったからだ。むしろ行けば俺が真っ先に死ぬんじゃないかと思えるほどだ。
だから、いつでも一緒だったあいつらを頼れないのは苦しいが、納得した。
――俺は街に籠っている。戦える自信が無いし、足手まといになると思う。だから気にせず行ってくれ。
幸いタイピングはキーボードのそれとほぼ同じだったため、スムーズに打ち込むことが出来た。
俺はそれを一瞬――ほんの一瞬ためらって、送信した。僅かな送信時間を置いて、メッセージが送られたことの確認画面が表示された。
これであいつらとは当分会えないだろう。その間どうすればいいのかを考えなければならない。
この仮想空間だか電脳世界だかと呼ばれる場所で、身の振り方を考えなければいかない。
「これから、どうしよう」
その悩みは、奇しくもアインクラッド内の殆どのプレイヤーが同時に抱える悩みだった。
それから、自分が楽器を持っていることに思い至るまで時間がかかった。
= =
「・・・とまぁ、そんな始まりだったな」
「・・・・・・・・・おお」
言葉を区切って、ちらりと聞き手――闇妖精の少女、ユウキの顔色を伺う。
退屈な話だろうと思っていたが、当人はいたって真剣に話を聞いていたようだ。
元々彼女にSAO時代の話をして欲しいと求められたから似合わない語り部をやったんだが、こうも無言で見つめられると流石に居心地が悪い。
SAOの華である冒険と戦いからは最も縁遠い場所にいた俺の話だ。必然、退屈な部分が多くなる。
SAO生還者には他にもっと知り合いがいるのだからそちらに聞いた方がいいと思うのだが。
「他の連中に聞いた方が面白いんじゃないか?俺は基本的に安全圏に籠ってたからな」
「もうアスナ達から十分に聞いたからいいの。それに今はお兄さんの話聞いてるんだから!同じバンドメンバ
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