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戦国異伝
第百七十八話 宴会その十一

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「楽しんでもらう」
「ううむ、その山海の珍味が」
「気になるな」
「揚げたものもあるでしょうか」
「ははは、それは言わぬ」
 今はとだ、信長はこのことは笑って隠した。
「後の楽しみにしておれ」
「その時のですか」
「宴の時にな」
「ではその様に」
「しかし御主揚げものは」
「はい」
 家康は楽しげに笑って述べた。
「目がありませぬ」
「そうじゃな、だからな」
「それもですね」
「用意しておる」
「楽しみにしております」
「その様にな、さrてそれではな」
 ここまで話してだった、信長は茶を飲み終えた。そうしてだった。
 同じく茶を飲み終えた家康にだ、こう言った。
「そろそろ宴の用意が出来た頃じゃ」
「これよりですな」
「御主の座はわしの隣じゃ」
「吉法師殿の」
「当然じゃ、御主はわしの盟友じゃ」
 臣下ではない、だからだというのだ。
「隣におるべきじゃからな」
「それで、ですな」
「そうじゃ、共に食おうぞ」
「そうなりますと」
「そうであろう、幼き日のままじゃ」
 その頃のままだ、信長は家康と共に宴を楽しもうというのだ。そうした話をしてそれからであった。
 信長はその家康と共に宴の場に向かった、そうして彼に山海の珍味を揃えたかつてない馳走を食べさせるのだった。


第百七十八話   完


                            2014・4・11
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