第百七十八話 宴会その九
[8]前話 [2]次話
「色には何かがある」
「そう思われるからですか」
「それはわしにしても御主にしても同じではないか」
「徳川の色は着色で」
「織田は青じゃな」
「はい」
「わしも御主もそれぞれの色が好きでそうしておる」
信長が織田家の色を青と定めた、これは家康も同じだ。
「他の家にしてもな」
「当主がそれでいいという色をですな」
「定めておるな」
「はい、我等と同じく」
「その色に何かあるのではないのか」
こう言うのだった。
「わしはそう思うのじゃ」
「色はです」
ここで言ってきたのは利休だった、二人のお替りの茶を入れ終わったところでこう彼等に言ってきたのである。
「それだけで力となります」
「そうなのじゃな」
「織田家の色の青は」
まずはその色から話す利休だった。
「春に東、木にとです」
「色々なものを司っておるな」
「司る、即ち」
「力じゃな」
「そうです、色はそれ自体が力なのです」
「力か」
「左様です」
まさにだというのだ。
「そうなりますから」
「ふむ。力か」
「それがしが思いますに」
利休もまだ彼等の存在は知らない、気付いてもいない。しかしそれでも自身が気付かないうちに何かを感じて言うのだった。
「闇は色がない、色を全て消したまつろわぬといいますか」
「この世のものではないか」
「はい、そうしたものですが」
「色はじゃな」
「この世のもので」
そしてというのだ。
「この世の力になります」
「五行にある通りじゃな」
「五行思想も色で表されていることも」
「そのことが表れています」
「そうじゃな、だから猿夜叉を死なせなかったのは」
「大きいですな」
利休もこのことについて言った。
「まことに」
「うむ、そう思う」
「では武田や上杉も」
「滅ぼしてはならぬな」
それはとも言う信長だった。
「残してな」
「この世の力としてな」
「働いてもらうべきじゃな」
「それがよいかと。そして」
「そしてか」
「確かにこの安土の結界はよいことです」
このことはというのだ。
「しかしです」
「それだけではなくか」
「丑寅の比叡山、未申の高野山に邪は祓い安土城も置きました」
利休はこのことから言った。
「そして南には奈良の多くの寺社があり」
「天下の心の臓である都に邪が入ることはなくなったな」
「後はです」
「さらにか」
「摂津の方にです」
「何かを置くべきか」
「瀬戸内、あちらに何かを置くべきかと」
「石山があるが」
「本願寺だけでなく」
あの一向宗の寺だけでなく、というのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ