第百七十八話 宴会その七
[8]前話 [2]次話
「それがしは何も」
「そう言うか。しかしあの者達もな」
「宴にですな」
「出てもらう」
そして、というのだ。
「そのうえで楽しんでもらう」
「それが何よりも有り難いです」
「家臣達が山海の珍味を味わえることがか」
「はい、何よりも」
非常にというのだ。
「嬉しく思います」
「家臣思いじゃな、相変わらず」
「それがしの何よりの宝です」
それ故にというのだ。
「大事に思っています」
「御主の一番の宝か」
「はい、家臣と民が」
「わしと同じかのう、そこは」
「吉法師殿もですな」
「わし一人では何も出来ぬ」
全く、というのだ。
「だからな」
「人は国ですな」
「武田信玄が言っておるな」
「城であり石垣ですな」
「人こそがな」
まさにだ、家臣と民達こそがというのだ。
「その通りじゃな」
「まことに」
「しかし、御主は特にな」
「家臣達に対してですか」
「愛情が深いのう。徳川の者達はよき主を持ったわ」
「それはそれがしの言葉です」
家康こそが、というのだ。
「全く以て」
「ははは、そこでそう言うのはやはり御主じゃな」
「そうなりますか」
「うむ、とにかくな」
それでと言ってだ、そうしてだった。
家康は茶を飲み菓子も食べた。そうしてだった。
茶はまた入れられてだ、二杯目を飲むその中でだった。
ふとだ、家康はここでこんなことを言った。その言ったことはというと。
「ところでなのですが」
「うむ、何じゃ?」
「はい、奥州のことですが」
「伊達か」
「ご存知でしたか」
「とみに力をつけておる様じゃな」
信長もこう言う。
「急な勢いで」
「最上家や佐竹家ともです」
「争ってな」
「力をどんどんつけておるそうですな」
「その様じゃな」
「奥州は遠いですが」
「やがて会えばな」
その時はと言う信長だった。
「向かって来る様ならばな」
「その時はですな」
「倒す」
こう言うのだった。
「そうするわ」
「やはりですか」
「敵ならばな」
「倒すだけですな」
「天下布武の為にはな」
「伊達政宗はどうやら」
「天下をじゃな」
また読んでいる言葉を出した信長だった。
「狙っておるな」
「その様です」
「それなら尚更じゃ」
「会ったその時は」
「降す」
そうするというのだ。
「そうしてやるわ」
「それだけですか」
「奥州も天下じゃ」
それならばというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ