第3章 揺れる想い
3-2 理解者
理解者
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つれない反応とは裏腹に、ひどく残念そうな顔をした。
ちらりと横目でその様子を見たケネスは静かに口を開いた。
「マユミはん、伝えたい事、あんねけど」
「え? 何?」
「ケンジな、こないだの大会、全然あかんかってん」
「知ってる」
「その原因がな、言いにくい事なんやけど、マユミはんなんや」
「え? あたし?」
「マユミはん、ケンジが出場する大会には毎回欠かさず行ってたんちゃうか?」
「え?」
「ほんで、昨日は初めて見に行ってやらなんだ。そやろ?」
「と、友だちと約束があったから……」マユミはケネスから目をそらした。
「裏付け完了」ケネスは小さく言った。
ケネスは後ろの床に手をついて、マユミを見た。
「ケンジはそんな事一言も言わへんのやけど、わい、あいつと話してるとわかるんや」
「え?」
「ケンジにとってマユミはんが欠かせない人なんやっちゅうことが」
「…………」
「わいな、もう何週間もケンジと一緒に学校で過ごしとって、はっきり解る事が一つだけあんねん」
「はっきり解る……事?」
「そや。ケンジはあんさんの事が大好きやって事」
「えっ?!」
「それも、ただの妹としてではのうて、一人の女のコとして誰よりも好きなんやって事」
「そ、それは……」マユミは焦ったように目を泳がせた。
「毎日毎日顔合わせる度に、わいケンジからあんさんの事聞かされてきた。今日は妹がどうしたーとか、マユの好きなのはメリーのチョコレートでーとか。そらもう会話の8割はあんさんネタや」
「そ、そうなんだ……」
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「でもな、ケンジのやつ、最近あんさんと気まずうなって、めっちゃ落ち込んでるねん」
「ど、どうしてそんな事がわかるの? ケニーくん」
「街で会うた時のあんさんらの雰囲気と、大会でのケンジの様子とのギャップ。あの時とまるで別人のような顔しとるわ、今のあいつ。何があったんか知らんけど、気まずうなったん、大会の前やろ?」
マユミは小さく頷いた。
「あいつは何でもすぐ顔と口に出るねんな。なんでこいつこんな暗い顔しとんのやろ、思て、よう観察しとったら、あれほど熱く語っとったあんさんの話題がぱたっと止んでしもてる。これはもう間違いあれへん、マユミっちゅう妹との関係が悪化しとるんやな、てな」
マユミはあっけにとられてケネスの顔を見つめた。「ケニーくんって……」
「ケンジ、あんさんの気持ちが自分から離れていくんやないか、ってめっちゃ怯えとるんやないかなあ」
「あ、あたしの気持ちがケン兄から離れていく事なんて、あり得ない」マユミが大声を出した。
「わかってるがな」ケネスは微笑んだ。「マユミはんも好きなんやろ? ケンジの事。兄として以上に」
「え? あ、あの……」マユミは赤くなってうつむいた
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