第3章 揺れる想い
3-2 理解者
理解者
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けど」
「そ、そりゃあ、同じ家の中だからな。と、当然だろ」
「そうかなあ……」
「ケニーくんのお土産のチョコレートって?」マユミが口を開いた。
「チョコレートお好きですか?」ケネスが訊ねた。
「大好物だ」ケンジが言った。
「ケンジには訊いてへん」
「わ、悪かったよ」
「甘いもんとコーヒー、よく合いますな。ところでマユミはん、ケンジとなんでケンカしてはんの?」
「こ、こらっ、ケニー!」
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ケネスはあきれ顔でケンジを見た。「あのな、ケンジ、わい三日間もここで暮らすねんで、おまえらの事よう知っとかんといろいろと気まずい事もあるやろ?」
「ケンカ、って言うか……」マユミがうつむき加減で言った。「何でもない。気にしないで、ケニーくん」
「それにしても、ほんまかいらしな、マユミはん」
マユミは恥ずかしげに目をそらした。
「わいの好みのタイプやなー。いや、冗談抜きでやで。でもな、」ケネスが急に小声になった。「わいな、実はバイですねん」
「バイ?」
「誰にも言わんといてな。バイ。『バイセクシャル』。つまり、オトコでも女でも同じように愛せるって事や。あーこんなとこでカミングアウトしてもうた」
「そ、それって……」
「大丈夫や、ケンジ、心配せんでもええ。わいにも理性はある。おまえを夜中に襲ったりはせえへんから心配いらんで」
「当たり前だ! 俺にはそんなシュミはない!」
ケネスはコーヒーを一口飲んだ。「そやけど、便利やで」
「何がだよ」
「好きになる対象の人間が普通の人の倍おるっちゅうことや」
「何だよそれ」
「そやけどな、誤解せんといてな。オトコとみれば誰にでも欲情するっちゅうわけやあれへん。そやから銭湯行ってオトコどものハダカ見てもいつも興奮するわけやないんや」
「へえ」
「『へえ』って。やっぱり誤解してたやろ? ノンケの男かて、女とみれば誰にでも欲情するわけやないやろ? それと同じや。好みのルックス、好みのプロポーション、ドキドキする対象はたまにしかおれへん。それがオトコでもな」
「なるほど」
「そんなん、男湯に入る度に興奮しとったら身がもてへんがな。それは単なる変態や」
「面白い」マユミがクスッと笑った。
ケネスもにっこりと笑って言った。「ああ。笑ろた方が百倍魅力的やで、マユミはん」
「ケニーくんて、ユーモアがある。話を聞いてると和む」
「そりゃ嬉しなあ。っちゅうわけやから、ケンジ、わい、おまえあんまり好みやないねん。そやから夜中襲ったりせえへんから安心しいや」
「変なヤツ」ケンジは遠慮なくあきれ顔をした。
「おお、もうこんな時間や。遅いから寝るわな。ほな、マユミはん、おやすみなさい。ええ夢みてな」
「おやすみなさい」
マユミの
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