第二十二話 菊の日常その十六
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「その足をな」
「確かにね。忍者の素早さはね」
「足だな」
「そうよ、足があるからこそね」
「素早く動ける。ならばだ」
「その足を封じてしまえば」
「動けない、そうだな」
怪人はその蛙の目で菊を見据えて問うた。
「違うか」
「その通りよ」
菊は動けないながらも怪人のその目を見据え返して答えた。
「忍者は足がないと只の木偶よ」
「何でもないな」
「残念だけれどね」
「それならばだ」
その足を封じた、そうしたからこそというのだ。
「最早貴様は何の力もない」
「確かに足は使えないわね」
「その貴様を倒すことは造作もない、覚悟するのだな」
「言ってくれるわね、けれどね」
「けれど。何だ」
「忍者ってのはしぶといのよ」
菊はここで不敵な笑みを浮かべた、そのうえでの言葉だった。
「何があっても生きて仕事を全うするのがね」
「忍者だからな」
「私諦めてないから」
今のこの状況でもだというのだ。
「あんたにも勝つわよ」
「この状況でもか」
「そう、この状況でもね」
足を封じられていてもというのだ。
「見せてあげるわ、ではね」
「そうか、見せてもらおうか。そこまで言うのならな」
怪人は菊のその言葉を聞いた、そして。
再び攻撃に入ろうとする、その両手を前に出して。
指から水を出そうとする、口も開き舌も出そうとする。だが。
ここでだ、菊はというと。
その攻撃それも勝負を決める必勝の攻撃に入ろうとする怪人にではなくだった、己の足を絡め取っている粘る水にだ。
己の力を注ぎ込んだ、土のそれを。すると。
まずは泥になった、さらに土を注ぎ込むと。
水は土に負け落とされた、土が水に勝った。
そしてそれで足を自由にさせるとだ、すぐに。
前に出てだ、一気に。
怪人に突っ込みその腹に一撃を加えた、忍者刀を深々と突き刺した。
それで怪人の動きを止めてだ、そこから。
怪人の身体を掴みそこからだった、真上に高々と跳び。
頂上からそのまま垂直に落下した、怪人の頭を地面に脳天から叩き付けた。するとその一撃でだった。菊が飛び退き倒れ伏した巨人の身体に。
北斗の符合が出た、菊の黄色いそれが。菊はその符号を見てそのうえで確かな顔になりそうして言った。
「勝ったわね」
「力を使ったか」
「見ての通りね」
死を前にしながらも立ち上がった怪人にだ、菊は会心の笑みで答えた。
「そうしたわ」
「水には土か」
「そうよ、その力でね」
「水の粘りを消し」
「そして落としたのよ」
そうしたというのである。
「見ての通りね」
「考えたものだな」
「闘いは頭でしょ」
それを使ってするものだというのだ。
「だから私もね」
「力、頭を使ってか」
「勝たせてもらった
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