第二十二話 菊の日常その十四
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「もっといい人になりたいけれど」
「今よりも」
「ええ、人格を磨いていきたいわ」
黒蘭は自分のこうした考えも菊に述べた。
「色々難しいけれど」
「黒蘭ちゃんって真面目ね」
「真面目かしら」
「ええ、真面目よ」
そうだというのだ。
「人間としてね、ただ」
「ええ」
ここで二人の雰囲気が一変した、不意にだ。
顔色を変えた、そうして左手の方を見てそれぞれ言った。
「来たわね」
「わかっているわよ」
足も止めて言った。
「早く出て来たら?」
「相手をしてあげるわ」
「以前よりも鋭くなっているな」
声が返って来た、そしてだった。
そのうえで怪人が出て来た、今度は暗緑色の無数のイボがありぬめりとした肌の怪人だった、その顔はというと。
「蛙かしら」
「如何にも」
その通りだとだ、怪人は菊に答えた。見ればその顔もそれだった。
「私は蛙の怪人だ」
「今度は蛙なのね」
「そうだ、しかしだ」
「しかし。何かしら」
「私の気配をもう察するとはな」
「そこまで殺気放ってたらわかるわよ」
菊は己の前に来た怪人を見据えつつ答えた。
「嫌でもね」
「嫌でもか」
「ええ、そうよ」
こう答えるのだった。
「普通にね」
「その普通にわかる様になったことがだ」
「鋭くなったっていうのね」
「そうだ、闘う度に強くなっているな」
「まあ経験は積んでいるわね」
菊は怪人を見据えつつ述べた、既に構えに入ろうとしている。
「あんた達と闘ってね」
「その結果だ」
「鋭くなっているのね」
「そういうことだ、しかしだ」
「あんた達もっていうのね」
「その貴様等を倒す為にな」
このことを目的としているが故にというのだ。
「強くなっている」
「そうなのね」
「そしてその強くなっている力でだ」
「私達を倒すっていうのね」
「今からいいな」
こう言ってだ、そうして。
構えに入る、そしてここで。
黒蘭が一歩前に踏み出した、そのうえで菊に言った。
「私が行くわ」
「いやいや、今はね」
「貴女がなのね」
「ええ、それでいいかしら」
微笑んでだ、黒蘭に言うのだった。
「今回は」
「何かあれば助太刀するけれど」
「それはいいから。一対一の勝負だから」
微笑んでそのうえでの言葉であった。
「闘い抜くわ」
「勝つというのね」
「そうよ」
その通りだと答える菊だった。
「だから安心して見ていて」
「そこまで言うのなら」
黒蘭は菊の言葉と心を受けた、そしてだった。
足を止めた、それと替わって。
菊は身構えた、そうしてだった。
忍者刀を出した、そして右手に持ち。
怪人と対峙する、怪人はその菊に対して。
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