第十幕その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「松山がいいと聞きまして」
「それでこちらに来られたのですな」
「そうです、実際に水はよく景色も綺麗で食べものも美味しく」
「定住されることを決められましたか」
「そのつもりです、我等はここに住みたいと思っています」
このことは真剣なお顔で言う老紳士でした。
「貴方達とも仲良く」
「それは何よりですな」
長老さんは老紳士の真剣なお顔での言葉に温厚な笑顔で答えました。
「では是非」
「是非とは」
「はい、こちらこそです」
「仲良く暮らしていきたいと」
「日本でもカワウソさん達も化けまして」
「我々の様に」
「はい、それで仲良くやっていたのですが」
それが、とです。長老さんはグラスでワインを飲みながらエクレアを食べてそのうえでこうも言ったのでした。
「いなくなったのです」
「その様ですね、日本で我々は」
「いなくなりました」
実際に、というのです。
「残念なことに」
「では」
「はい、しかし」
「しかしですね」
「貴方達が来られたので」
それで、とです。長老さんは言うのでした。
「嬉しいです」
「それが貴方のお考えですか」
「わしだけではありませんぞ」
ここで長老さんは周りを見ました、すると。
そこではです、狸さん達もカワウソさん達もとても楽しく仲良くしていました。まるで長年の友達同士だったみたいに。
それで、です。長老さんは笑顔で言うのでした。
「我等のよいところはです」
「それは、ですね」
「誰とでもどういった相手か知ればすぐに仲良くなれるところですじゃ」
「だからですか」
「こちらこそです」
彼等も、というのです。狸さん達も。
「仲良くして頂けるでしょうか」
「是非共。実は我等もです」
「カワウソさん達もですか」
「貴方達の様にすぐにではないですが」
人見知りはするというのです、相手を。
「しかし」
「しかしですか」
「はい、仲良く出来ます」
そうだというのです。
「次第に打ち解けて」
「ふむ、ではお互いだったのですな」
「お互いに相手がわかっていなかった、先生の仰る通りでしたな」
「まことに」
「では」
それではとお話してでした、そして。
長老さんも老紳士もお互いに盃を勧め合いティーセットとモーニングを楽しむのでした。そしてその中で。
不意にです、狸さん達がこんなことを言いました。
「お昼なのが残念だね」
「そのことだけがね」
「夜だったら腹津鼓を打つのに」
「それが出来ないからね」
「それだけがね」
「残念だね」
「僕達もお昼に宴開くしね」
このこともだというのでした。
「それは仕方ないね」
「また今度の機会にだね」
「やろうね」
「へえ、狸さん達って腹鼓打つんだ」
「そうだったんだ」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ