第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
[8/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だったのですが……。
俺に取っても。そして、朝比奈みくるに取ってもね。
それ……その引っ掛かって居た部分と言うのは、昨日から彼女の発して居た気に対して、今の彼女の言葉に因ってようやく合点が行ったと言う事。
彼女……朝比奈みくるが発して居た気。彼女が俺の顔を見つめる時に発して居たのは不可解。思い出せそうで、思い出せないもやもや感のような物でした。
いや、それを言うのなら、朝倉涼子も何故かふと遠い目をして俺を見つめる事が有るのですが……。
「昨日、挨拶をした時に、何故か初めて会ったと言う気がしなかったんですよ。以前に、何処かで会った事が有るような、そんな気が。でも、何処から転校して来たのかも判らなかったし……」
何処で出会ったのか。まるで夢の向こう側みたいではっきりしなかったのですが。
もやもや感が晴れてスッキリとした顔で俺を見つめながら、そう続ける朝比奈さん。その時、矢張り女の子には何時も笑っていて貰いたい、と言う事を確信させられる。
ただ……。
【長門さん、俺の異世界同位体と朝比奈さんが二月、もしくは五月にこの街を訪れた際に偶然出会った可能性はあるのか?】
一応、念のためにそう【念話】にて長門さんに確認を行う俺。
確かに、朝比奈みくるの言葉に納得出来る部分は有ります。昨日の挨拶を交わした時から、彼女の視線と表情。それに発して居る気はすべて不可解、と言う色で塗り潰されて居て、それを隠そうとはして居ませんでしたから。
しかし、すべての事件。今年の七月七日が経過するまでに、彼女……朝比奈みくるとの接触は避けるような気がするのですが。
何故ならば、相手が何らかの手段で時間を超える技術を有して居る以上、再度、過去の改変を行う可能性もゼロでは有りませんから。
確かに次元断層。歴史が改変される際、どんな未来に進むか曖昧な……予測不能な状態の時に、あらゆる時間移動の可能性の有る能力。例えば、光の速度を超える運動すらも不可能となる現象が発生していたらしいので、未来人朝比奈みくると雖も簡単に時間移動を為せなかった可能性は大なのですが、それも絶対では有りません。
何故ならば、彼女の持つ時間移動能力が、その縛りから外れた方法で行われる可能性がゼロでは有りませんから。
俺のような存在。こちらの世界の歴史の書き換えを阻止する可能性の有る人間。向こうの……朝比奈さんの立場から言えば時間犯罪者。こちらの立場から言えば、異世界からの侵略に対する防衛機構に当たる人間の情報を有して居る可能性を考慮した場合、時間駐在員……もしくは工作員との不用意な接触は出来るだけ避けるはず、なのですが……。
【あなたと朝比奈みくるは一度接触している】
しかし、長門さんの答えは俺の想像を少し裏切る答え。……と言うか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ