第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
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本当に頭を抱える訳には行かないのですが。
「あの〜、すみません、武神さん」
つかの間の休息。切った張ったの生活とは無縁の一般的な高校生の日常を満喫中の俺に、躊躇いがちに掛けられる少女の言葉。それに、少なくとも試験勉強で命のやり取りは起こりません。
ハルヒの言う『死刑』が、本当の意味での『死刑』でない限りは……。
俺がその妙にふわふわとした少女に視線を向けるのと、ハルヒが少しムッとしたかのような気配を発するのはほぼ同時。
そうして、
「何ですか、朝比奈さん?」
何にしてもハルヒの問いには答えたから問題ないか。そう考えてからメイド姿の先輩に応える俺。
もっとも、ハルケギニア世界ではリアルメイドに囲まれた生活をして居ましたから、メイド姿の美少女に対しても、何の感情――特別な感情と言うヤツが涌いて来る訳ではないのですが。
……そうかと言って、周りを取り囲んでいるセーラー服姿に萌える訳でも有りません。
絶対にね。
「さっきの涼宮さんとの話から察すると、武神さんは、今年の二月まではこの辺りに暮らして居た、と言う事なのでしょうか?」
俺が何を考えて居るかなど判らない朝比奈さんが、イマイチ意図が読めない問いを投げ掛けて来た。
ただ、確かに朝比奈さんに取って俺の出自は謎過ぎますか。実際、何処から転校して来たのか、……と言う基本的な設定すら、彼女に対しては話して居ませんでしたから。
もっとも、そんな細かな事を言い出す前にハルヒのペースに巻き込まれて、有耶無耶の内にこの部活動兼同好会活動に参加させられて仕舞ったのですが。
「ええ、かなり短い間ですが、この西宮にも居た事が有ります」
設定上ではそう言う事に成って居るので、一応、そう答えて置く俺。但し、俺が暮らした事が有るのは大阪で有って兵庫県では有りません。
この西宮で一週間ほど暮らしたのは俺の異世界同位体の方ですから。
その俺の言葉を聞いてひとつ手を叩いた後に、
「成るほど。だったら、その時に何処かで出会った事が有るのでしょうね」
……と、すべての謎が解けた探偵のような表情でそう言う朝比奈さん。ただ、彼女が行うと、何故かそんな仕草でさえ子供っぽく見えるのですが。
そんなクダラナイ感想を思い浮かべる俺。
しかし、それも一瞬。未だ何処で出会ったのかは思い出せていないけど、街の何処かですれ違う事ぐらいは有っても不思議じゃないですよね、などとかなり曖昧な言葉を続けて居る朝比奈さんにテキトーに相槌を打ちながらも、こちらも同じように、昨日から少し引っ掛かって居た部分が解消した事により、ややスッキリした気分に成りつつ有ったのは事実でした。
但し、ひとつの謎が解ける事によって、更に深い苦悩の始まりと成る類の解決
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