第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
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……。
彼女が手にする銀の首飾りには俺の気を通してある魔法具。具体的には持って居るだけで木行に因る攻撃をすべて無効化して仕舞うと言う優れもの。確かに限界は有りますが、この首飾りを装備した状態でならば、切れて垂れ下がって来た電線を素手で掴んだとしても平気でいられるはず。
もっとも、表の世界で生きて暮らして行くのに、そんな異常な状態に陥る事はまず考えられないのですが。
ただ、この首飾りに俺の気を付与してある、と言う点が重要。
俺の気。つまり、高位の龍の気配。人化の術を究めた龍の気を発して居る魔法具を持つ人間に対して、簡単に手を出して来る妖物はあまり居ません。
彼女に渡した十字架を象った首飾りは、異世界同位体の俺に取っては本当の意味でお守りだったはずなのです。
俺の答えを聞いて、出来るだけ無表情を装うハルヒ。ただ、これは装っているだけ。少なくとも最初に首飾りを突き出して来た時に発して居た不機嫌な気と言う物は鳴りを潜め、異なった感情が表に現われようとしている。
しかし、
「何よ、エラそうに」
忍のクセに生意気。少し怒ったような口調でそう意味不明の台詞を続けるハルヒ。
これは、表に現われる態度としては素直じゃない人間の典型的な答え。何か、もっと突拍子もない反応と言うヤツを繰り出して来ても良いとも思うのですが。
もっとも、彼女に関しても別に好かれなければならない相手と言う訳でもない。……と言うか、この世界に取って俺、武神忍と言う人間自体が仮初の客。長居する可能性は低い以上、この周りの人間とあまり濃密な人間関係を築いて仕舞うと、ハルケギニア世界から開くはずの召喚ゲートに悪影響が出る可能性が出て来るので……。
ただ……。
ただ、このハルヒの持つ十字架を象った首飾りに関しては、妙な引っ掛かりも同時に感じて居るのですが……。
あのハルケギニア世界で俺の親分だと名乗った少女。湖の乙女に俺としては二度目。彼女の言葉を信じるのならハルケギニアでは最初の出会いの事件で、湖の乙女が俺に言わせようとした秘密の暴露。『貴女が目覚めた後、あの出会いの図書館に……』の台詞に繋がるような気がするのですが……。
あの夢の世界での邂逅がどのような意味があるのか未だに判りませんが、ハルケギニア世界でも這い寄る混沌や門にして鍵などのクトゥルフ系の邪神が暗躍している事は確実なので……。
ハルケギニアに帰った後にこの事実。この世界で得た知識を元に彼女……湖の乙女に問えば、彼女は答えてくれるでしょう。
彼女……未来の長門有希が知って居る事実と言うヤツを。
この長門有希が暮らして来た世界と、俺が召喚されたハルケギニア世界との類似に思い至り、帰ってからの困難な道のりに頭を抱えたくなる俺。
もっとも、この場で
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