第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
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ントを残してある、と伝えた。
ハルヒはくだらない――普通の日常生活に飽き、それ以外の世界の創造を望んだらしいので、彼女のすぐ傍らにも普通ではない非日常の世界が存在して居る、と言う事を教え、その非日常を確認する為には、目を覚ましてから自分で確認するしかない、と考えさせたと言う訳。
最初から考えて居た……。その事件に関わったのが俺ですから、おそらくその程度の準備を行っていたのは確実。それでなければ、ハルヒを殺す……滅するしか方法がないでしょうから。
ただ、それでもかなり大きな賭けだったとは思いますが。
そして、その出会いの図書館に用意して有ったのが彼女の持つこの首飾り。ごくシンプルなデザインですし、更に銀製と言う事で大した価値もない代物なのですが……。
長門さんが身に着けて居る指輪やその他の宝飾品に比べると。
ただ……。
「それをちゃんと着けて置いてくれたんやな」
ありがとうな、ハルヒ。素直にそう口にする俺。対してハルヒは、妙に意気込んで近付いて来た勢いを簡単に受け止められて仕舞い、次の一手が打てない状態。
……ツンデレ気質の少女なら当たり前の反応。具体的には、視線を俺から外して有らぬ方向を彷徨わせ、やや上気した頬。心臓の鼓動も心持ち早くする状態。
もっとも、俺を相手にドギマギしても意味がないとは思いますけどね。
こちらの心の動きは冷静そのもの。目の前の美少女にツンデレ気質が有ろうとも、それで萌えるような人間でもなし。
幼い頃からそう言う連中に囲まれて――。妙に胸を張って、腰に手を当てた少女たちに囲まれて勉強を教えられた経験のある俺に取っては、そう言う連中は正味ウザイだけ。むしろ、余り近寄りたくない苦手な相手。
今でもそう大きな。身長はそれなりに有るけど、そう筋肉質な身体と言う訳ではない俺は、当然、幼い頃はもっと華奢で色の白い……見るからに大人しそうな男の子。こう言うタイプの少年は、ある種の少女たちから見ると、かなり頼りなく見えるようで……。
そう言う傾向が無くなったのは、俺の身長が伸び出した中学校に入ってから。それまでは、妙にお姉さんぶった同級生の女の子たちに弟扱いされて居ましたから。
そして、そう言う女の子たちの多くは、かなりの確率でそのツンデレ体質と言うヤツを身に付けて居ました。
幼い頃の経験と言うのは重要だな。妙に教訓めいた事を考えながらも――
「その首飾りは一種のお守り。ハルヒに妙なムシが付かんように残して行った代物やからな。普段から身に付けて置いてくれなんだら意味はないんや」
――何と言うか微妙な言い回しですが、事実を有りのまま口にする俺。
確かに聞き様に因ったら、オマエは俺のオンナだ、と主張しているように聞こえなくもないのですが
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