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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
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とりとした声が何故か張りつめていた部室の空気を和ませてくれました。

 ……と、のんびりとそう考えた後、しかし、僅かに首を横に振り、先ほどの思考を素直に否定して仕舞う俺。

 何故ならばこの世界は表向き平和な世界。こう言う、のんびりとした雰囲気こそが本来の在り様。裏側は確かに危険な魔が蠢く世界なのですが、それは一般人が立ち入る事のない世界の闇の部分。陽の当たる明るい場所、表の世界はこれが正しい。

 ましてここは、人間が実社会に出て行く前のモラトリアムな期間……人生に於いては非常に重要な時間を過ごす場所。そんなトコロが生命の危険を感じる殺気立った空間で有って良いはずがない。

「あ、ありがとうございます。朝比奈さん」

 目の前を横切って過ぎて行くヘッドドレスを追い掛けるように感謝の言葉を口にする俺。その言葉に対して、彼女は彼女に相応しい表情で答えてくれる。
 その瞬間、またも狂うリズム。本当に何がしたいんだ、涼宮ハルヒと言う名の少女は。

 思わず何か言いたくなる……関西人ならば絶妙なツッコミを入れるタイミング。しかし、ここまで無視して来た場合、ウカツに触って仕舞うと、どう弾けるか想像が付かない以上、ここは放置をするのが吉。
 そう考えて、間を持たせる為に朝比奈さんが淹れてくれたお茶に手を伸ばす俺。
 少し暗い。昨日と同じ……。どんよりとした低い雲の垂れ込めた、冬の日に相応しい気温に支配された文芸部の部室に湯呑の温かさが手に心地良い。

 元々、少し低体温気味の指先にその湯呑の温かさを移した俺。そして机の上に置いたままにして有った湯呑を両手で持ち上げ――
 ため息にも似た微かな吐息を吐く。その吐息には、呑み込んだ液体に相応しい温かな色と、そして安らぎが籠められていた。

 そんな俺の仕草を黙って見つめる一同。
 ……って言うか、何故、そんなに俺が注目を集めなければならないのか、その理由がさっぱりと判らないのですが……。
 確かに、朝倉さん。朝比奈さん。弓月桜から見ると俺は正体不明の転校生でしょう。
 さつきは俺の正体――。水晶宮所属の術者。それも龍種だと知っているはずですから、その点に興味がある可能性は有りますか。
 ただ、長門さんと万結に関しては、俺が、この世界にこれまで三度訪れた事のある『武神忍』の異世界同位体である、と言う事は知って居るはずなのですが……。
 まして、彼女らふたりに関しては、他人が何をしようが自分には関係ない、と言う雰囲気が漂っているタイプの人間なのですが……。

 ハルヒに関しては……。
 その瞬間――

「ねぇ」

 腕にオレンジ色、其処に黒字で大きく『団長』と書かれた腕章を付けた少女が、彼女にやや相応しくない同じ年頃の少女特有の雰囲気で話し掛けて来る。もっとも、まさ
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