第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
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につかみ》に繋がる一族の姫。いや、似ているのは姿形や声だけではなく、その性格などに関してもかなり似ているような気がする少女。
正面……会議室などでお馴染みの、脚を折り畳む事の出来る長テーブルをふたつ合わせた向こう側の真ん中に陣取るさつきがそう言った瞬間、それまで妙に苛立たしげながらも規則正しく音を立てて居た指が、そのリズムを僅かに狂わせた。
それと同時に、何故か西洋のメイドが着るようなエプロンドレスとヘッドドレス姿の朝比奈さんが夜道でメデューサかゴーゴンに出会ったかのように立ちすくみ、同時にヒッと言う小さな悲鳴を漏らす。
そして、何故か朝倉さんが海よりも深くため息をひとつ吐き出した。
しかし……。
しかし、そんな外野の不穏な空気など委細構わずの俺。そもそも、そんな細かい事にイチイチ拘って居られるほど現状では暇と言う訳ではありません。
彼女から指摘された個所。俺の書いた答えと、長門さんが用意してくれた模範解答を見比べて見る。
……………………。
成るほど。
「確かに単語の綴りが間違っているな」
良くあるケアレスミス。テキトーに覚えて居るから、どうしてもこう言うミスはやって仕舞う。
まして生来のイラチ。せっかちで落ち着きがない以上、判った心算でさっさと進んで仕舞うから、余り後ろを振り返る事もない。俺の悪い点が凝縮して出たような誤答。
ありがとうな、さつき。……と軽く続ける俺の言葉を、片方の眉のみを上げて何か言いたそうな顔でこちら見た彼女。しかし、実際には何も言葉にする事もなく、大きく首肯くだけで答えに代える。
流石に、ツンデレ娘のお約束のパターンで答えを返すほどウカツでは有りませんか。
明日からは二学期末の試験が始まると言うこの日。運動部に関しては素直に練習を休みとする事に成って居たのですが、文化系の部に関してはその限りではなく……。
ここ文芸部の部室では、教師用の椅子に座るハルヒがメイド姿の朝比奈さんが淹れたお茶を、まるで砂糖と塩を淹れ間違えたコーヒーのような顔で口に運ぶ。
俺の右側には向こうの世界でそうで有ったように、長門さんがパイプ椅子に浅く腰を下ろし、膝の上に和漢で綴られた書籍を開いている。
左側には何を考えて居るのか長門さんよりも謎の少女。水晶宮所属の術者神代万結が、何をするでもなく、ただパイプ椅子に定規を引いたかのような精確さで座る。
もっとも、この二人に関しては人工生命体で有るが故に、未だ心が完全に造り上げられている訳ではない可能性の方が高いのですが。
長門さんの場合は特に……。
「はい、武神さん」
長門さんが用意してくれた問題が一段落した頃合いを見計らうようなタイミングで差し出される湯呑。ゆっくりと立ち昇る湯気と、彼女のおっ
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