第6章 流されて異界
第100話 魂の在処
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英文を綴る際に発せられるシャーペンと紙の擦れる音。そして、何やら妙に不機嫌そうな雰囲気でコツコツと言う机を爪で叩く音が支配する部屋。
遠くに感じる人々の気配。しかし、その生活臭から何故か隔絶されたこの部室。
結局、裏ワザ……。例えば、仙術を使用して一時的な記憶力の強化。例えば、ソロモン七十二の魔将第四席アガレスの職能を使用して英語を脳に直接インストールする、などの明らかなズルは行わず、地道に試験勉強をする事と成り――
現在、十二月三日。つまり、学期末試験前日の放課後。場所は文芸部兼、ハルヒの作った意味及び目的不明の同好会の部室。
……なのですが、高が試験勉強中にしては妙な緊張感に包まれているような気がするのですが。……この部屋は。
それに厳密に言うと仙術をまったく使用していない訳ではなく……。
現在、長門さんのマンションの一室では、俺の飛霊たちと長門さんの剪紙鬼兵たちが試験勉強中。
飛霊はその経験をすべて俺にフィードバックする事が出来る為に、彼らが勉強をして覚えた事を後で俺に移せば、試験勉強を人数分の時間行ったのと同じ効果が得られると言う訳。
確かに、一般人から見ると多少ズルいと言われても仕方がない方法なのですが、それでも俺はつい最近まで地球世界の高校生レベルの勉強からは離れて居ましたから、この程度の事は許して貰えるでしょう。
少なくとも、すべて自分で勉強をして居るのですから。
もっとも、これは別にハルヒの言う死刑が恐ろしかった訳などではなく、この高校への編入試験に合格した人間がその直近の試験で余りにも無様な結果を残すと、後に悪影響が出る可能性を考えての事なのですが。
長門さん作成の二学期末試験予測問題から、ほんの少し意識がずれて行く俺。
その瞬間――
「其処。三問目の答えが間違っている」
少女としてはやや低い声音でそう指摘して来る長い黒髪の少女。
口調及び表面上の雰囲気は不機嫌その物。口を一文字に引き締め、鋭い視線で見つめる様は、まるで不倶戴天の敵を目の前にするかの如し。彼女の周囲に存在する数多の精霊たちも、そんな彼女の気に反応するかのように活性化して居て、僅かながらも凍えた冬の大気を温めている。そう言う状態。
ただ……。
ただ、彼女自身が発して居る気。心が発して居る雰囲気はそう不機嫌な状態ではない。
……と思う。
何と言うか、不機嫌と言うよりは好調と言う感じ。体調が良いが故に、自然と周囲の精霊に影響を与えているような感じでしょうか。今の彼女は。
俺はそう考えながら、手元に落として居た視線を彼女の方向へと向けた。
相馬さつき。異世界ハルケギニアの炎の精霊王とそっくりの姿形を持つ|地祇《く
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