番外編 乙女の矜持 その一
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
一夏』
と声援を送っていた。
『声援はいらないから俺にも援護くれよ』
という一夏の声が聞こえた気がするが……たぶん、気のせいだろう。
気のせいだと思っていてもちゃんとライフルは構えているし狙いも定めてはいる。
一夏が相手しているラファール・リヴァイブが一夏から離れコンテナの上を飛び跳ねるようにして移動する。
俺の位置からは遠ざかる感じだ。
コンテナは全部が全部同じ高さに積んであるわけではない。
だから、積んであるコンテナの高さより上、背後に空が見えるあたりまで飛んだ瞬間、俺は引き金を引いた。
当たりはしなかったが思わぬ方向からの攻撃に意表はつけただろう。
俺に注意を向けたラファール・リヴァイブは一夏の接近を許し、左側の物理シールドを一夏に切り飛ばされていた。
この展開なら早々に戦闘が終了しそうだと俺は感じた。
シャルロットにパイルバンカーで吹き飛ばされたラファール・リヴァイブは俺の近くにあるコンテナに激突、気絶でもしているのか機能を停止している。
それを見たシャルロットは地上に降りてくる。
一夏が相手していたラファール・リヴァイブの方はどうなっているかというと、捕獲出来たようだ。
一夏に頭を捕まれ観念したのか武器を手から離す。
手から離れた武器はアスファルトの敷かれた地面へと落ち、武器は重厚な音を周囲に響かせた。
ホッとしたのもつかの間、シャルロットが倒したはずのラファール・リヴァイブが再び動き出す。
銃を構えたラファール・リヴァイブ。
銃口はこちらに向いているように見えた。
おいおい、冗談じゃないぞ。
このままここでじっとしていたら俺の足元で爆発が起きるのか? そんな現実ありえねえと俺は思いたかった。
『シャルロット、そこから離れろ!』
俺は咄嗟に叫び、すぐさまコンテナから離れシャルロットの元に飛んでいく。
俺の声でなにかを感じたのだろう一夏も動き出す。
ラファール・リヴァイブの放ったいくつもの弾丸が足元を通り過ぎるのが見える。
後ろからは弾丸がコンテナに当たり甲高い金属音が聞こえ……そして、爆発音。
シャルロットの元に到達するのは一夏の方が早そうだと感じた俺は、スラスターを吹かし軌道を修正、上空へと退避を開始した。
上空へと退避を終えた俺は、地上にいるであろう一夏とシャルロットを探す。
「二人は大丈夫なんだろうな?」
空中で静止し爆発のあったあたりを眺めながら俺はそう呟いていた。
結果だけ言えば一夏もシャルロットも無事だった。
事後の後始末をしている時、俺のそばにきたシャルロットが、
「ボクを庇おうとするなんて思わなかった」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ