第六十九話
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事態は切迫していた。罠にかかって太陽の届かぬ地、《ヨツンヘイム》に落ちた俺たちは、幸いにも同じく落ちていたキリトとリーファ、ユイたち三人と合流した。そこでリーファの頼みとキリトの一計によって、四本腕の邪神からやられている邪神を助けることになり、その助けた象海月型の邪神――トンキーに連れられ、理由は分からないが、凍りついた湖を渡っていた。
だが、そこで復活した四本腕の邪神の逆襲にあってしまう。トンキーの稲妻を受けて湖に沈んだはずの四本腕の邪神は、身体がところどころ崩壊していっており、そのHPも残り僅かだったものの、その不意打ちにより頼みのトンキーは動かなくなってしまう。
さらに追撃のように、大人数のパーティーが近づいている、という警告がユイから発せられた。恐らくは、遠くからの大火力の魔法により、邪神を狩ることを専門にしたパーティーだ。攻撃を受けて沈黙したトンキーと、復活した影響でボロボロの四本腕の邪神は格好の標的だろう。……もちろん、そこに残っている俺たちも含めて、だ。
四本腕の邪神にやられるか、邪神狩りのパーティーにやられるかはともかくとして――このままでは俺たちもトンキーの命もない。世界樹はもはや目前だというのに、こんなところでやり直しを喰らうわけにはいかない……!
「トンキー! ねぇトンキー!」
トンキーを一番可愛がっていたリーファが悲痛な声をあげるものの、トンキーは沈黙したままで応えない。四本腕の邪神の一撃がクリティカルでもしたのか、ただでさえ攻撃されて低下しているHPも、さらに減少して次の一撃には耐えられないだろう。水上を歩く四本腕の邪神はトンキーにトドメを刺さんと、その手に持った大剣をもう一度振り上げ――
「みんなしゃがんで!」
――という声が聞こえたその瞬間、トンキーの姿が消え去った。
『………………!?』
四本腕の邪神の驚愕の嘶きがヨツンヘイムに響き渡る。トンキーだけではなく、トンキーの上に乗っていた俺たちまでもが、四本腕の邪神の視界からは消えていた。……もちろん本当にその場から消えた訳ではなく、トンキーも俺たちもそこにいたままだった。辺りには風が吹きすさび、その視界は薄い緑色に染まってはいたが。
「レコン、何をやったんだ……?」
四本腕の邪神の攻撃の前の、『しゃがめ』という指示の声の主はレコンだった。その当人であるレコンは魔法の詠唱に集中していて、とてもこちらに説明をしている暇はなさそうであり、キリトの肩にくっついているユイが代わりに声を上げた。
「これはシルフの魔法の《風の膜》です、皆さん。パパとリーファさんはルグルー回廊で経験したと思いますが……風の膜によって相手から見えなくさせる魔法です」
レコンが得意とする隠蔽魔法とはまた違う、風によって姿
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