第六十九話
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の武器』として掲載されており、少し下調べをしたに過ぎない俺とリズが知っているのはそのためだ。キリトはリーファから説明を受けて、ようやくその存在を知ったようだが……。目の前に伝説の武器が現れる、という信じがたい出来事に遭遇し、その瞬間は誰もが聖剣の存在感に引き込まれていた。
そして、《聖剣エクスキャリバー》が安置されている場所の手前に、プレイヤーが入ることが出来るほどのテラスを発見する。その奥にも道が続いているのを見る限り、どうやらあのテラスは《聖剣エクスキャリバー》を手に入れるためのダンジョンへの入口であり、トンキーに乗っている今ならば飛べば充分に着地出来る……
「……おい」
ゲーマーたちが揃って――先程までトンキーの背中にへばりついていたレコンすらも――引き寄せられていくのを、俺は少し呆れて見ながら制止する。彼らは声をかけられた瞬間に、とても驚いたようにビクンと身体を震わせて、ぎこちなくトンキーに座ってその動きを止めた。
「も、もちろん伝説の武器があるからって、それを取りに行ったりしないわよ。ね、ねぇキリト」
「あ、ああ、俺たちの目的の《世界樹》は目前……目前なんだからな!」
「トンキーがいれば、またいつでも来れるんだし、大丈夫……よね……」
「うん! また取りに来ようよ!」
……何故か最後のレコンの台詞により、良い話であるかのように感じられてしまう不思議な感覚に襲われるが、出来の悪い子を叱るようにしているユイの様子を見て、その感情は錯覚だと再認識する。立場が逆だろキリト……などと思っていたところ、そのユイが俺に向かって問いかけて来た。
「ショウキさんは何で平気だったんですか?」
「平気ってそんな病気みたいな……まあ、俺はそもそもゲーマーじゃないしなぁ」
と、ユイにはそう言ってごまかしたものの、その答えは正直なところ全て正解とは言えない。ゲーマーだろうとなかろうと、世界に一本しかない伝説の剣、というネームバリューに惹かれないこともないのだから。だが、《聖剣エクスキャリバー》は見るからに片手剣で、俺の戦闘スタイルとは合わないという理由と……世界に一本だけの最強の剣なら、今も俺は持っているから、か。
「なに、ショウキ?」
「……いや、何でもない」
そんなことを制作した本人の前で言うのは気恥ずかしい。ユイには悪いが、その答えで納得しておいてもらうことにする。
そしてトンキーは《聖剣エクスキャリバー》があるダンジョンから離れていき、ある地点まで行くとその場で一時停止した。目の前には上段に続く階段のような場所があり、恐らくここを上っていけば《ヨツンヘイム》から脱出出来るのだろう。眼下に広がる氷と雪の美しい世界を名残惜しげに――邪神たちのことを思うとそんな気持ちも吹き
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