第六十九話
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している鱗もボロボロと零れ落ちて来ている。レコンが時間を稼いでくれた分、後は俺たちが元凶をどうにかする番だ。
問題であるもう一つの邪神狩りのパーティーの方だが、レコンとリーファの《風の膜》が効いている限り――つまりトンキーが彼らに見つからないのであれば、特に問題ではない。こちらを攻撃してくる可能性も無くはないが、このような危険なダンジョンにまで来るパーティーに、わざわざ邪神以外の厄介ごとに首を突っ込む理由はないからだ。むしろ、四本腕の邪神を邪神狩りのパーティーのところまで誘導出来れば、後は彼らに倒してもらうということも出来る。……マナー違反ではあるが。
「だ、だったらあたしも……」
「こら、リーファ。あんたがいなくなったら、この《風の膜》が切れそうになったらどうすんのよ」
満身創痍のレコンとレプラコーンのリズでは、この《風の膜》を修復することは不可能だ。《風の膜》でトンキーが見えないようになっていることが前提条件のため、残念ながらリーファはここを動くわけにはいかない。
「大丈夫だよ、リーファ。あんなんユージーン将軍に比べたら軽いって」
「うー……分かった。でも、この《風の膜》はあんまり保たないから、早く終わらせてきてよ!」
「ああ!」
「了解!」
リーファのありがたい激励の言葉を受け、俺とキリトはトンキーの背中から大きく跳んだ。背中の翼は太陽光がないため使えないが、それでも跳ぶことは出来る。何もない場所から突如として二体の妖精が現れたことを、四本腕の邪神は目ざとく発見し――何せ眼も三つあるのだから眼も良いのだろう――こちらに向けてギョロリとその三つの眼を向けてくる。俺とキリトは凍りついた湖の雪上に降り立つと、まずはトンキーから距離を離すべく、湖から邪神狩りパーティーがいる丘の方へと走りだした。
「……そう言えばキリト、お前とコンビ組むのって初めてだな」
アインクラッドで無謀にも右も左も分からぬまま、《はじまりの町》から出て行った俺を助けてくれたのはキリトだった。今でも彼のことは恩人だと思っているし、助けられたことを忘れた覚えもない。
「ん? 最初に会った時もそうだったろ?」
「あれは……俺がまだ何も分かってなかったからノーカウントだ」
「なんだよ、その変な理屈は?」
――というところまで言ったところで、俺たちの進行方向に爆音が鳴り響いた。もうもうと立ち込める煙の中、凍りついた湖の上からジャンプして俺たちの前に立ちはだかって来た、四本腕の邪神がゆっくりとその得物を持って立ち上がる。
「……話は後の方が良いらしいな」
「ああ。行くぞ!」
キリトの号令一下、俺たちは四本腕の邪神が態勢を立て直す前に攻撃を開始した。まずはキリトがその身の丈ほどもある
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