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SAO−銀ノ月−
第六十九話
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を隠すことの出来る魔法の一つ。しかし、トンキーほどの大きさの物体を隠すには大量のMPが必要なようで、詠唱の合間にレコンはポーションを惜しみなく投入していた。四本腕の邪神は姿を消したトンキーを探しているようで、周りや空をキョロキョロと探索していた。

「このまま、あの邪神がいなくなれば……」

「いや、無理だろうな。出来たとしても、邪神狩りの連中が来るまでコレの維持は出来ないだろう」

 キリトがリズの呟きを否定した通り、これは時間稼ぎにしかならない。今も詠唱を続けているレコンには酷なようだが、このままではいつか邪神に見つかるか、邪神狩りのパーティーに見つかるか、という運命は変わってはいない。

「あ……レコン、あたしも手伝う!」

 それでも少しだけ安全な時間を得たことにより、落ち着きを取り戻したリーファが、レコンと同じように詠唱を開始する。シルフの風魔法ということで俺も手伝いたいものだが、開始まもない俺は風魔法をそこまで熟練させていない。

 しかしリーファの加勢で随分楽になったのか、これまで不安定だった《風の膜》が安定していく。どうやら、わざわざ詠唱を続けなくても良いほどに安定したようで、疲れ果てたレコンが詠唱を止めてバタッとトンキーの背中に倒れ伏した。

「……もう無理……動けない……」

 ゼエゼエと肩で息をするレコンに、もうこれ以上の行動は難しい。道中でも俺とリズをずっと魔法で支援してきたこともあり、もうそのMPも限界だろう。レコンに心中で礼を言うと、俺はどうすればこの局面を乗り切れるか……と思索をしていく。

「バカレコン、無茶して!」

「うー……でも、リーファちゃんがこの邪神を守る、って言うんなら、僕も頑張らないと……」

 ……ここで一番俺たちが助かる可能性が高い方法は、トンキーを見捨て、二体の邪神を手土産に邪神狩りのパーティーに合流し、《世界樹》へと連れて行ってもらうこと。……もちろん、これは論外だ。SAOとは関係ないレコンとリーファに、サラマンダーの件があったとはいえ、ここまで案内をしてもらった。今レコンが言った通り、その彼女らがトンキーを守ろうとしているのを、手伝わない訳にはいかない。

「……よし」

 ……いや、リーファを手伝うなどという理由ではなく、トンキーを助けるのだと覚悟を決める。顔を上げるとキリトも同じ気持ちだったようで、少し笑いあってトンキーの背中からすぐに跳べるように座り込む。

「ちょ、ちょっと二人とも……どうする気?」

「俺とショウキが、あいつをトンキーから引き離す」

「はぁ!?」

 俺たちが導き出した結論は、とりあえずトンキーからあの四本腕の邪神を引き離すこと。いくら相手が邪神と言えども、復活したペナルティーかその動きは鈍く、鎧の役割を果た
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