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【短編】竜門珠希は『普通』になれない【完結】
家族からのFAを検討中
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ンは何の用で私たち呼んだの?

   珠希:そうです。すっかり忘れてましたよ


  *  *  *


 ハムスターとヒグマとコアラの可愛さ論争――という建前の姦しい騒ぎ――が落ち着き、美緒と珠希はグループトークを始めた理由を言いだしっぺに尋ねた。


  *  *  *


   夏穂:あ、すっかり忘れてたわwww

   美緒:わたし、気になりますっ

   珠希:え○たそはとりあえずお家帰ろうか

   夏穂:うわ、珠希ちゃん冷たすぎ

   美緒:アイスクリーム=氷○なだけに?

   夏穂:だ れ う ま


  *  *  *


 ツッコミ間違えたか、と思ったのも一瞬。
 珠希の指先は自然とフリックを始めていた。


  *  *  *


   珠希:……じゃ、おやすみなさい

   夏穂:あー! ストップストップ!!

   美緒:最近のJK、マジで冷淡すぎる

   珠希:それで夏穂さん。要件というのは?

   夏穂:それなんだけど……受かったわ

   美緒:娘さんの私立幼稚園受験ですか?

   夏穂:我が家にそんなお金ないわよー。てか余計なお世話よ

   美緒:珠希ちゃん。私、夏穂さん家の経済事情まで聞いてないよね?

   珠希:美緒さんの言うとおりですね。
   珠希:でも待ってください。この時期に受かるものといえば……

   美緒:まあ、アレしかないわけで?

   夏穂:そうです


  *  *  *


 夏穂のコメントに、珠希も美緒も脳裏に浮かんだものはひとつしかなかった。
 毎年8月半ばにある全国ニュースにも取り上げられるくらいの祭典。通称――夏コミ。


  *  *  *


   夏穂:合格通知来ました。しかもお誕生日席です!!

   珠希:おめでとうございます

   美緒:うらやまけしからん。けどおめ

   夏穂:それで、どうせなら二人とも参加してみない?

   美緒:マジですか?

   夏穂:売り子は頼んでるんだけど、さすがにバイト頼めば人件費がね


  *  *  *


 夏穂の同人誌名義もサークル名もコ○ケに来るような面々には十分知られている。
 もとは少女漫画家を目指していたというだけあって、可愛らしい絵柄は女性にも人気がある。描くジャンルもどことなく甘酸っぱい風味の純愛モノが多く、原画を手掛けたゲームも純愛モノが多い。


  *  *  *


   美緒:行く!行きます!バイト無理矢理にでも空けて行きます!

   夏穂:珠希ちゃんは?


  *  *  *


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