家族からのFAを検討中
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ヤバい。何なのこの母親。思い切りストライ○ショットぶちかましたいんだけど。
珠希は認知症になるには精神年齢が若すぎる母親の都合のいい記憶力にそれ以上返す言葉も失っていた。
「どうしても厳しいか?」
「厳しい」
「でも珠希、俺はお前が勉強しているところを一度も見てないんだが」
「アナタたちが少しでも家事をしてくれればいくらでも見せてあげますけど? ん?」
勉強はやらなくても最低限この世は生きていける。だが家事は――特に食事はしなければ生きていけない。意図も何も隠さないで珠希が笑顔で尋ねると、大樹も彩姫も結月も即座に視線を逸らした。
だがこの長女、今ではまったく手元を見ずに器用に水を捨てては替えて米を研げるほどに家事スキルのゲージを振り切ってしまおうとしている。
「とにかく、あたしはもう無理です。外注するだけの予算もないとか?」
「いや、それは余裕だ」
「だったらいいじゃん。フリーの大御所は無理でも、和紗愛理とか青軸ユズリハとか最近の有名どころ引っ張ってくれば?」
「珠希、お前なあ。和紗愛理も青軸ユズリハも超多忙すぎるだろうが」
大樹は腰に手を当てて呆れた溜息を吐くが、そんなの珠希は百も承知だ。承知の上で言ってやっただけだ。二人のブログやツイッ○ー、ピ○シブやインス○グラムまで珠希はお気に入り登録しているのだから。
「だからって『天河みすず』には頼まないでよね」
「シナリオが紅梓でもか?」
「え? マジで!?」
「紅梓」――珠希が生まれてこの方一番熱中したゲームのシナリオライターのPNだ。
珠希が初めてその名前を知ったときはまだ名前が認知され始めていた頃だったが、珠希がプレイしたゲームの爆発的ヒットによって一気に有名ライターに名を連ねるようになった人物でもある。
「紅さんがシナリオやるの?」
「ああ。しかも6割がた完成しているらしい。それにな――」
ああ、もう。どうしてあたしはこうなんだろう。
大樹から話を聞いた珠希は思わず頭をかきむしりたくなった。
「だから、やってもらえないか?」
「うぅ……。でも――無理」
「本気か? こんなチャンスそうそうないぞ?」
頭がオーバーヒートしそうなほど葛藤したものの、断ることにした珠希に大樹は目を見開き、心底驚いた様子で尋ねてきた。さすがに娘がファンになったシナリオライターと同じ作品制作に関われるとなれば乗ってきてくれるだろうという目論見が見事に外れたのだから無理もない話である。
「わかってる。それはわかってる……けど、今のあたしには別にやるべきことがあるの」
「でもさ、おねーちゃんは大学行くって言ってるけど、どこ大にい
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