家族からのFAを検討中
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ご……進路だろう?」
ねえマイファザー。今さりげなく「仕事」を選びかけなかった?
今、「し」の次に「ん」じゃなくて「ご」の発音が聞こえたのは気のせいかな?
「そうだね。お父さんの言うとおりだよ。学生の本分は勉強だよね」
「あ、ああ。そうだな」
「だからね、あたしもそんなに手伝えるほど暇じゃないの」
そう。珠希は現在高校3年。そして今は6月。本来であればこうして家事をしているバヤイではない。
珠希の通う高校は進学校という校風ではないが、大都市圏の難関大学目指して春のうちから予備校や進学塾に足を運んでいる同級生がいるくらいだ。珠希の友人の中にも既に夏期講習などを含めて夏の計画を立てている面々がいる。
しかしながら、暇じゃないと言いながらLPが溜まるまで中断しているスク○ェスの代わりにスマホでモン○トを始めるような奴が何を言っても説得力は皆無である。
「外注扱いでもダメか?」
「賃金の問題じゃない。てか、あたしは元々部外者だっつーの」
若気の至りか何の過ちか、珠希は以前に軽いアルバイト感覚で父の仕事の手伝いをしたことがある。実際に父親のポケットマネーからという扱いで報酬ももらっている。だが珠希が手伝った品物が予想外の高評価を得たため、連休や夏休み・冬休みなどにも何度かこうしてお願いをされることがあった。
とはいえ、今年は断固として断る理由がある。
「てかさ、あたし今高3だよ? これから大学受験があんの。それ理解してる?」
「え? 大学行くっての本気だったのか?」
……なん、だと……?
去年の夏に当時の担任交えて三者面談したのはいったい何だったのか。父の何気ない発言に軽い衝撃を受け、思わず意識どころか霊圧までも消えかけた珠希は、米ぬかで白くなった水ごと研いだ米を捨ててしまいかけた。
が、実際去年の夏に三者面談に姿を見せた保護者は父ではなくいつもの「仕事したくない病」を発病させた母・彩姫であり――もしかしてとは思っていたものの――今さらながら父と母の間で珠希の大学進学の件について完全な意思疎通が図られていなかったことが発覚した。
「えっ? おねーちゃん大学行くつもりだったの?」
「ウソっ!? 珠希ちゃん。お母さん、そんな話聞いてないんだけど」
父との話が聞こえたのか、結月と彩姫も驚いた顔で――ゼリーを口に運びながらではあるが――珠希のもとに駆け寄ってきた。
「ちょい待て! お母さんの発言はおかしい!」
「おかしいって、何が?」
「アナタあたしの三者面談に出たでしょうが! そんときあたし先生の前ではっきり言ったよね? 進学希望だって、4大行くって」
「え? 言ったの珠希ちゃん」
「言ったの、じゃねえぇぇぇッ!!」
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