第六章
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「問題外ですよ」
「だから映像か」
「それも編集をした」
「つまり蜘蛛が益虫であることを強調した、か」
「捕食とかそうしたところはです」
生々しい、蜘蛛が怖がられる原因になる場面は、というのだ。
「カットして」
「そうした映像をか」
「観てもらいましょう」
「そうするしかないか」
「はい、何度も言わせてもらいますが」
北川は南城にあえてといった感じで述べた。
「蜘蛛は不気味ですから」
「女の子には好かれないか」
「普通は」
普通の趣味の女の子は、というのだ。
「ですから」
「本意ではないが」
やはり南城は女の子達に蜘蛛達を直接見てもらい触ってもらいたかった。そしてダイレクトにありのままをわかって欲しかった。
だがそれが無理ならだ、仕方がなかった。
「君の言う通りにしよう」
「そういうことで」
こうしてだった、女の子達を中心として蜘蛛の映像が紹介されることになった。その映像では様々蜘蛛達の益虫としての生態が学術的に紹介されていた。
その映像を観てだ、女の子達は話すのだった。
「確かに気持ち悪いけれど」
「相変わらずね」
「けれど蜘蛛ってね」
「本当に役に立ってくれているのね」
「悪い虫達を捕まえてくれて」
「人間の役に立ってくれてるのね」
話ではなく映像、よりダイレクトな情報手段から理解したのである。
「ううん、それならね」
「蜘蛛を無闇に邪険にするのじゃなくて」
「いいことはいいって」
「認めていくべきね」
「外見とかだけで判断しないで」
「毒がある種類はいても」
それでもだということになってだった、そして。
彼女達は次第に蜘蛛達を認める様になった、そしてだった。
僅かだが蜘蛛の村と言われている博士の研究室に来る娘も出て来た、それでそのガサゴソと動いたり巣を張っている蜘蛛達の生態を見て学ぶのだった。
その女の子達を見てだ、南城は北川に囁いた。
「何かね」
「はい、徐々にしてもというんですね」
「女の子達が来てくれているな」
「研究として」
「触ってみたいという娘も出て来た」
遂にそうした娘も出て来たのだ。
「わしの願い通りになってきた」
「いいことですね」
「ひょっとしてだ」
ここで南城は北川にこうも言った。
「君はこのことを狙っていたのか」
「はい、そうですよ」
その通りだとだ、北川は南城にあっさりと答えた。
「徐々にと」
「そうだったのか」
「ですから蜘蛛ですよ」
生理的に怖がる人、特に女の子がだ。
「そうした生きものですから」
「慣れてもらうことがか」
「重要ですから」
それ故にというのだ。
「市町村の紹介だってそうでしょ」
「まずは映像からだな」
「いい部分を紹介して」
「そこから実
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